社員との結束は、うまくいっているときにはできません。
うまくいって当たり前だからです。
仕事はあって当たり前。
契約が取れて当たり前。
右肩上がりの売り上げで当たり前。
社会経済が上向きなので、何をやってもうまくいきます。
好況のときには、仕事におけるすべての感動が小さい。
しかし、不況となるとそうはいきません。
仕事はどんどん減る。
契約もなかなか取れない。
右肩どころか、売り上げはどんどん落ちていく一方。
なかなかうまくいかない時期になり、ようやく仕事のありがたみ・喜び・嬉しさ・感動に気づきます。
健康は、あるときにはありがたみに気づきませんが、失ったとき、ようやくその重要性に気づくのと同じです。
毎日ニュースで流れる仕事を失っていく人たちを見て、思います。
「自分はまだ仕事がある。仕事があって幸せだ」
「仕事がある。仕事ができる」という当たり前の幸せに気づけます。
本来、働けるというのは最高に幸せなことです。
自分が社会で生かされ、役立っているという実感が持てるからです。
仕事を通して「生きている意味」「生きている実感」「生きる喜び」を感じ取ります。
不況は、そういう忘れていた感覚を取り戻す時期です。
「仕事が嫌い。面倒」と言っている場合ではありません。
社員同士の結束は、不況の中で育まれます。
大変な時期に、お互いに知恵を出し合い、協力し合い、努力を重ねることで、社員同士の結束が強くなれます。
つらい時期だからこそ、情も育まれやすくなります。
「青春の友は一生」と言います。
それは受験という大変な時期を一緒に戦ってきた友だからこそ、友情も育まれていきます。
不況のときに一緒に戦った同僚、またお客さまとの関係も、実は関係を太くするチャンスです。
大変な時期だからこそ、関係をより太くしやすくなる時期です。
不況は、そうした忘れかけていた何かを思い出させてくれる時期です。
不況を乗り越える前と後とでは、そうした当たり前への認識が変わっていることでしょう。