学校行事で大勢の子どもたちがテーマパークに行く様子を見たとき「学徒出陣」と表現する人がいます。
言わんとしていることはわかるのです。
教職員のもと、児童や学生が集団で参加している様子は、勇ましく出陣する光景に見えなくもありません。
しかし「学徒出陣」という言葉を軽々しく使うのは要注意です。
もともと学徒出陣という言葉は、太平洋戦争の時代、大学生や専門学校の学生が兵役に繰り入れられたときの言葉です。
戦局の悪化に伴って、それまで学生に許されていた徴兵猶予が停止され、ついに子どもたちまで戦争に駆り立てた過去があります。
そこにポジティブなニュアンスはありません。
兵役に就かされただけでなく、命を落とした学生も大勢いるのです。
言葉が生まれた背景を理解していれば、学徒出陣という言葉は安易に使ってはいけないとわかります。
うかつに使うと、下品に聞こえたり道徳心が欠けた印象を与えたりするでしょう。
人からむっとされ、不要なトラブルを招くこともあります。
「飯テロ」という言葉があります。
第三者の食欲を刺激する行為として使われるスラング表現です。
こちらも言わんとしていることはわかります。
食べるのを我慢している人の前で、おいしそうな料理の写真や動画が現れると、食欲が無性に刺激されるでしょう。
空腹やダイエット中の人からすると、我慢が特別苦しく感じられ「やめてくれ!」と叫びたくなるもの。
しかしこの「飯テロ」という言葉も、揶揄するとはいえ、軽々しく使うのは要注意です。
テロという言葉は「テロリズム」の略語です。
テロリズムとは、政治目的のために、暗殺・暴力・破壊活動などの恐怖手段に訴えることをいいます。
つまり、犯罪行為を意味する言葉です。
世界では戦争や紛争が絶えません。
今テロに苦しむ人もいれば、テロで亡くなった人も大勢います。
そうした事情を知っていれば、何かを揶揄するとはいえ、軽々しく使うのはやめておくほうが良いとわかります。
テロという言葉を軽く使っていると、周りから引かれてしまうことがあるのです。
「そんなつもりで言ったわけではない」と弁解しても、口にした後では手遅れというケースがあります。
何かを揶揄するために使いたい言葉があるとき、本当に使っていい言葉なのか考えることです。
「下品ではないか」「不謹慎ではないか」「道徳心に欠けているのではないか」と考えてみましょう。
危ないかなと思ったら、口に出さないのが賢明です。