時間にルーズな人と共同作業をすることがあります。
意識合わせということで相手にスケジュールを伝えますが、このとき実際より前倒しで締め切りを伝える人がいます。
たとえば、本当の締め切り日は20日なのに、10日が締め切りと伝えます。
ぎりぎりを避けるため、最悪遅れてもいいように、さばを読んだ締め切りを伝えるのです。
時間にルーズな人は、締め切りを守らない傾向があるもの。
前倒しで伝えておけば、相手が締め切りに遅れたとしても、カバーしやすくなります。
なかなか賢い方法に思うかもしれませんが、ずばり言ってしまうと、NGです。
実際は逆効果です。
万一のためとはいえ、さばを読んだ締め切りを伝えるのは良くありません。
結局のところ、相手に嘘をついているのと同じだからです。
「相手にばれないだろう」と思いますが、遅かれ早かれ、必ずばれます。
あるとき相手は本当の締め切りを知ることになり、失望します。
「なんだ、本当の締め切り日はもっと後なのか。こんなに急がなくて良かったじゃないか。私のことを疑っているのだな」
自分が信用されていないことにショックを受け、信頼関係にひびが入るのです。
悪影響はそれだけではありません。
一度さばを読んだ締め切りがばれると、ますますルーズに拍車がかかります。
「今回の締め切りも、どうせさばを読んでいるのだろう。少し遅れても大丈夫だろう」となります。
気持ちの緩みが助長され、相手の仕事の完了がますます遅くなります。
こちらとしても、ますますさばを読んだ締め切りを伝えることになり、お互いに悪いほうへエスカレートするのです。
こうして信頼関係が崩壊へと向かっていくのです。
締め切りでさばを読むのは、余計な不信感を招くだけです。
締め切りを伝えるなら、さばを読んで伝えるのではなく、最初から本当の締め切りを伝えましょう。
時間にルーズな人と共同作業をするとき、どうすれば締め切りを守ってもらえるのでしょうか。
「締め切り厳守」を強調して伝えればいいだけです。
それ以上余計なことをする必要はありません。
時間にルーズな人であっても、締め切り厳守を強調して伝えれば、気合を入れてくれます。
相手を信頼することです。
相手を信頼することで、相手も信頼に応えてくれます。
他者に対する期待・願望が現実になることを、心理学で「ピグマリオン効果」といいます。
時間にルーズな人と共同作業をすることになったとしても、スケジュールをごまかさず、最初から正直に伝えたほうがいいのです。