引っ込み思案と混同されやすい言葉があります。
「人見知り」です。
どちらも「控えめの態度」という点は共通です。
知らない人に苦手意識があったり、積極的な行動が少なかったりします。
意味が似ているため、混同している人も多いのではないでしょうか。
しかし、人見知りと引っ込み思案は、似て非なるものです。
意味は似ていますが、厳密には異なります。
人見知りと引っ込み思案を同じ意味で考えていると、コミュニケーションの誤解や勘違いにつながることもあります。
混同せず、きちんと区別しておきましょう。
人見知りとは、見慣れない人に対して不安を感じたり恥ずかしがったりすることをいいます。
人見知りは「子どもに多い」「1対1のコミュニケーションで起こる」という点が特徴です。
人見知りは、自意識過剰と自己防衛本能によって起こります。
見慣れない人は、どんな人なのか正体がわからないため「相手から傷つけられるのではないか」という警戒心理が働きます。
その結果、不安や恐怖が生じて、恥ずかしがったり臆病になったりします。
ただし、いったん打ち解けて仲良くなれば、その人に人見知りをすることはなくなります。
人見知りは、あくまで見慣れない人に対して起こるのが特徴です。
引っ込み思案とは、進んで人前に出たり物事を進めたりできない態度や性質のことをいいます。
引っ込み思案は、1対1のコミュニケーションに限らず、日常生活や人間関係の全体で起こります。
また子どもから大人まで幅広く起こるのも特徴です。
引っ込み思案は、低い自己評価や自己肯定感によって引き起こされます。
いじめられたり愛情不足で育ったり否定された経験が多かったりすると、積極的になるメリットを見いだせなくなります。
「余計な行動はやめておこう」という消極的な考えが働くようになり、それが引っ込み思案に発展していきます。
それぞれの意味を見てわかるように、人見知りと引っ込み思案は、似て非なるものです。
「人見知りで引っ込み思案」というケースもあれば「人見知りだが引っ込み思案ではない」というケースもあります。
人見知りは年齢を重ねるにつれて自然と改善することが多いですが、引っ込み思案は年齢を重ねただけで改善するとは限りません。
引っ込み思案の克服には、意識と努力が必要です。
あらためてそれぞれの意味をきちんと理解して、区別しておきましょう。