人には「暗示」という心理現象があります。
暗示とは、観念や意図などを無意識のうちに思い込ませる心理的作用のことをいいます。
その暗示を自分に対してかけたものが、自己暗示です。
暗示と聞けば「怪しい」「危ない」など悪いイメージを持つ人もいますが、誤解です。
心理療法の分野では、すでに「暗示療法」という治療法が確立されており、実社会で広く活用されています。
実はすでに私たちも、日常的に暗示の力を利用しています。
スポーツの試合前「必ず勝てる」と自分に言い聞かせるのも、暗示の1つです。
力強い言葉を自分に言い聞かせることで、気力が高ぶった体験をした人も多いのではないでしょうか。
ストレスを感じたとき「リラックス、リラックス」と自分に言い聞かせるのも、いわば自己暗示です。
自己暗示の力を生かせば、心に火がつき、忍耐力を鍛えやすくなります。
自己暗示をかけるときは、次の3つがポイントです。
「苦しみが小さくなる」「痛みが軽くなる」など、ネガティブなキーワードが含まれた一言は不適切です。
脳は、ポジティブよりネガティブに強く反応する性質があります。
「苦しみ」「痛み」などのネガティブキーワードを使うと、そちらに注意が向き、なかなか自己暗示がうまくいきません。
かえって不快感が強調されることもあります。
自己暗示では、必ずポジティブなキーワードを利用するのがポイントです。
曖昧な言葉は、自己暗示に不適切です。
たとえば「楽になれ」「楽になってほしい」「楽になるだろう」などです。
確信を持てない言葉は心に響きにくいため、効果が半減します。
自己暗示は、曖昧な言葉を使わず、断定の言葉を使うようにします。
大声で言い聞かせたり、気合を入れたり、力強く思い込んだりするほうがいいと思われがちですが、誤解です。
乱暴に言い聞かせようとすると、言葉の内容より騒がしさに注意が向くため、スムーズな暗示を妨げます。
自己暗示の言葉は、リラックスした状態で静かに言い聞かせるのが最も効果的です。
声は小さくても、すっと言葉が心に届くため、効果を発揮します。
以上、3つのポイントを意識すれば、素人でも自己暗示は可能です。
いつでも自己暗示の力を最大限に引き出すことで、忍耐力の可能性も引き出せます。