私の実家の近くには、神社があります。
歩いて1分の近場です。
その神社には、ブランコ・鉄棒・滑り台など、遊具がありました。
それから野球やサッカーができる広場もありました。
近いので、外で遊ぶときにはその神社を思い浮かべるほどよく遊んでいました。
昼間は子どもたちにとって絶好の遊び場でした。
しかし、その楽しいはずの神社は、夜になると一転します。
電球は1つもなく、まさに真っ暗。
月明かりでほのかに見える程度です。
祖父からは「神社は神様の家だよ」と教わっていました。
「悪いことをしたら鬼が出てくる。神様に叱られる」と脅されてもいました。
夜、家の外に出て神社を見ると、本当に真っ暗です。
何も見えません。
都会の夜とは違い、電球1つもない夜の神社というのは、本当に闇です。
しかし、子どもは不思議です。
親から「お化けがいるよ」と言われると、暗闇の中から本当にお化けが出てくるのではないかと、想像を膨らませてしまいます。
私は怖くて夜の神社だけは近づけませんでした。
何もない真っ暗闇の神社を見て「こんなお化けかな」「こんな妖怪がいるのかな」とさまざまな妄想を膨らませていました。
当時、特に大きな影響を受けていたのは、水木しげるさんの名作『ゲゲゲの鬼太郎』です。
作品に描かれる数多くの妖怪たちが、本当に神社にはいると思って、尻込みしていました。
夜の神社は、あまりに怖くて1人では近づけなかったのです。