「田舎は何もなくて、静かすぎる」
そういう話をよく耳にします。
しかし、本当にそうでしょうか。
私は田舎出身なのでわかりますが、たしかに田舎には静かな土地が多いのは事実です。
しかし、時と場合によっては、都会に劣らないほど大きな音を耳にすることがあります。
たとえば、夏は昼も夜も大きな音が聞こえます。
昼間はセミが大合唱し、夜はカエルが大合唱をするからです。
それは大都会の工事現場に負けないくらいの大音量です。
大粒の雨が降れば、大きな音が響きます。
田舎は草木が多いので、少し風が吹いただけで、揺れる音がよく聞こえます。
少しでも天気が荒れようものなら、大きな音です。
それは、都会で車が頻繁に行き交う車道に負けないくらいの騒音です。
しかし、そうした自然の音は、都会とは違い、うるさいとは感じにくい。
むしろ「癒し」を感じる場合が多いです。
なぜでしょうか。
「音の大きさ」が問題ではありません。
「音の質」が問題です。
私たちは、自然の音を聞いたとき、ひとりでにリラックスできます。
リラックスするというのは「元に戻る」ということです。
今まで緊張しすぎていた心が元に戻り、波立っていた心が落ち着きを取り戻します。
そういう自然の音を聞いていると、体の緊張が解かれます。
セミやカエルの鳴き声でも、聞いていると癒されます。
それは生命の声であり、命の音です。
音の質が問題です。
「人工的な音」か「自然の音」かの違いです。
いい音を聞かせると、子どもはリラックスできるようになります。
また心が落ち着いたからこそ、みなぎる力もあります。
心が休んで元気を充電できるからこそ、日中は喜怒哀楽を表現しやすくなります。
きちんと心が休むと、本来の元気も出てきます。
それは田舎だけでなく、都会でもできます。
車通りが少なく、自然が生い茂る場所があるはずです。
そうした場所へ行けば、本来の自分が取り戻せ、リラックスができます。
都会とはいえ、自然の音を聞いていると、どこか「おかえりなさい」という声にも聞こえてくるのです。