執筆者:水口貴博

子どもの「外遊び」のすすめ

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力任せでは勝てない昔のゲームでは、慣れた大人ほど有利になれる。

力任せでは勝てない昔のゲームでは、慣れた大人ほど有利になれる。 | 子どもの「外遊び」のすすめ

私が小学生だったある日のこと、祖父に「めんこ」を教えてもらったことがあります。

めんこという遊びは、1980年代、すでに大変古臭い遊びで、私は経験したことがありませんでした。

「知らない」と答える私に「じゃあ、教えてやろう」と祖父がめんこを作って、遊び方を教えてくれました。

めんことは、日本独自の遊びです。

昔の遊びだけあり、めんこの作り方や遊び方は、シンプルです。

円形、または長方形の分厚い紙を作ります。

その厚紙でできたものが、めんこです。

2人以上が、互いに自分のものを地面に叩きつけ合います。

その地面に打ちつけたときの風の力で相手のめんこを裏返して、勝負を競います。

少し凝っためんこになると、絵柄模様や写真をはり付けることもあったそうです。

めんこを作った祖父が、手本にどうやるのか見せてくれました。

私は驚きました。

いつもは腰を曲げて鈍い動きばかりの祖父が、慣れた手つきで急に俊敏になります。

急に若返ります。

その瞬間だけ、祖父は子ども時代に戻っていました。

祖父はめんこをしているうちに、昔の自分を思い出していたのかもしれません。

懐かしい気持ちがこみ上げたり、昔の遊んでいた風景を思い出したりしていたのでしょう。

にやにや笑いながら、楽しそうにします。

その瞬間、祖父が昔どれだけめんこで遊んでいたのかが伝わってきました。

祖父の慣れた手つきや嬉しそうな表情を見て「毎日、こればかりして遊んでいた」ということが、ひしひし伝わってきます。

昔の遊びを教えるのは、これだけでも意味があります。

しかも、祖父はうまかった。

強く地面にめんこを叩きつければ、強い風を起こすことができますが、ただ力任せに地面に叩きつければいいわけではありません。

相手のめんこを裏返すことができるよう、角度や場所などを計算に入れる必要がある頭脳ゲームでもあります。

私のほうが若いので、力任せにめんこを地面に叩きつけますが、なかなかうまくできません。

しかし、祖父は一発で私のめんこをひっくり返してしまいます。

子ども時代に何度もやって、体が動きを覚えているのでしょう。

昔の遊びなら、年配者ほど強くなれるのです。

子どもの「外遊び」のすすめ(7)
  • めんこで、勝負する。
四季のある日本だからこそ、特に外遊びはおすすめ。

子どもの「外遊び」のすすめ

  1. 外遊びには、子どもが生きる力に必要な要素がすべて備わっている。
  2. 家の中のゲームだけでは、生きる力を身につけられない。
  3. 自信は、外で遊んでいれば、自然と身につく。
  4. とりあえず行動していれば、自然と話は広がっていく。
  5. 現代は豊かだ。
    それをわからせるには、野外キャンプの体験が一番。
  6. 進んだ現代社会だからこそ、昔の遊びを教える価値がある。
  7. 力任せでは勝てない昔のゲームでは、慣れた大人ほど有利になれる。
  8. 四季のある日本だからこそ、特に外遊びはおすすめ。
  9. なぜ大都会ほど、大自然があるのか。
  10. 自然の音を聞くと、子どもは強く育つ。
  11. 旅行が難しいなら、せめて日帰りのピクニックくらいならできるはず。
  12. 犬と散歩しているときに、口喧嘩は起こらない。
  13. 畑仕事を手伝わせると、不思議と味覚が研ぎ澄まされる。
  14. スポーツは、体の運動だけではない。
    脳の運動でもあった!
  15. 団体競技はどれも、頭を鍛える頭脳ゲームだ。
  16. 免疫力を高めるためには、清潔すぎてはいけない。
  17. 部屋の中は、刺激が限定されやすい。
  18. 「スクリーンで見る立体」と「現実世界の立体」は、脳には似て非なるもの。
  19. どんなにテレビが進化しても、現実世界の刺激にはかなわない。
  20. エアコンは、人の生活を便利にする。
    しかし、頼りすぎると不便にする。
  21. 国語の読解力は、経験が豊富なほどイメージが鮮やかになる。
  22. 体験を優先すると、必ず後で追い上げる力になる。
  23. 立って歩けるようになれば、外遊びをしてもいい時期。
  24. 子どもが泥んこになって帰ってくるのは、一生懸命に外で遊んで帰ってきた証拠。
  25. 真っ暗闇だからこそ、あらゆる怪物をイメージさせられる。
  26. なぜ、ウォーキングマシンは、続きにくいのか。
  27. 門限があるから、遊びの密度が濃くなる。
  28. 私たちには「新しい刺激に触れて、自分の領域を広げたい」という野心と冒険心が眠っている。
  29. 子どもの持ち物に名前さえ書いておけば、迷子になっても怖くない。
  30. 成長のために「遠くへ行ってみたい」と思う子ども。
    安全のために「遠くへ行くな」という親。
    この矛盾が問題だ。

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