執筆者:水口貴博

犬の気持ちを理解しながら育てる30の方法

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よく噛んで食べさせるのを、強要しないようにする。

よく噛んで食べさせるのを、強要しないようにする。 | 犬の気持ちを理解しながら育てる30の方法

犬の食べ方は豪快です。

吸引器のように、次から次へと胃に流し込んでいきます。

ステーキを与えようものなら、ぺろりと一口で食べてしまうでしょう。

噛んではいるようですが「味わっている」というより「肉を引きちぎるために噛んでいるだけ」という印象。

数回噛んだ後、ごくりと飲み込みます。

「もう少し味わいながら食べればいいのに」

そう思いますが、実際のところ犬は「味わう」というのが苦手です。

舌の上には、味を感じるための味覚器官があります。

そもそも犬の舌は、味を感じる味覚器官が大変少ないのが特徴です。

人の舌は、およそ10,000個の感覚器官である一方、犬はおよそ2,000個しかありません。

人の5分の1しかないため、味が感じられにくい状態です。

例えるなら、味の薄いコンニャクを食べている感覚に近いかもしれません。

歯ごたえはあっても、味がよくわからない状態です。

味わって食べようにも、そもそも味を感じる感覚組織が少ないです。

また「飲み込む」という食べ方にも理由があります。

犬は人と暮らし始める前、野生の中で暮らしていました。

そのときは、食べている最中、いつ外敵がやってくるかわからない状態でした。

少しでも早く食べることを優先していたため「飲み込んで食べる」というスタイルが定着しています。

早く食べるために消化器官は人以上に強力である一方、味わうことは人より劣っています。

「おいしいものを与えればきっと喜ぶに違いない」と思いますが、実は大して味を感じていません。

少し残念ですね。

ただし、まったく味を感じていないわけではないようです。

全体的に味に関しては鈍感ですが、甘いものに関しては比較的感度が高いようです。

甘いものであるお菓子を食べるときには「甘くておいしいな」と思っているのでしょう。

この事情を知らない飼い主の場合、ゆっくりよく噛んで味わって食べさせようと、犬をしつけがちです。

犬は味がよくわからない上、本能として飲み込む食べ方なので、しつけにくいのです。

犬の気持ちを理解しながら育てる方法(19)
  • 人の都合でよく噛んで食べさせるのを、強要しないようにする。
犬は肉食。
好きな肉にも、順番がある。

犬の気持ちを理解しながら育てる30の方法

  1. 犬が素早く動くものに反応してしまうのは、野生だったころの名残。
  2. 犬同士にも相性がある。
  3. 痛みでしつけようとすると、犬から嫌われる。
  4. 広いハウスより、狭いハウスのほうが、落ち着く。
  5. 実は、犬も夢を見る。
  6. 犬は色を見分けるのが、大の苦手。
  7. 先住犬がいる家で、新しく犬を飼うときの注意ポイント。
  8. なぜ犬は、飼い主に叱られたときほど大きなあくびをするのか。
  9. 大はしゃぎする犬を、おとなしくしつける方法。
  10. 猫は、舌の上で水をすくって飲む。
    犬は、舌の裏で水をすくって飲む。
  11. 犬用のお洋服は、単なるおしゃれだけではなかった。
  12. 「褒める量」より「叱る量」のほうが多くなっていませんか。
  13. いきなり登場したハウスに、なかなかなじんでくれないときの対処。
  14. いくらおなかがすいているとはいえ、拾い食いはやめさせる。
  15. 道端の草は、衛生的によくないので食べさせないほうがいい。
  16. 餌をやるのが楽とはいえ、出したままにするのはやめたほうがいい。
  17. なぜか自分からリードを噛み切って、飼い主のもとを離れたがる犬の気持ち。
  18. 首輪に連絡先を書いた迷子札をつけておけば、迷子になっても怖くない。
  19. よく噛んで食べさせるのを、強要しないようにする。
  20. 犬は肉食。
    好きな肉にも、順番がある。
  21. 犬のマーキング行為は、存在のアピールをする重要な役目を果たす。
  22. 犬が変なポーズで寝始めたら、飼い主は大喜びしていい。
  23. 犬が本当に成長するために必要なのは、意外にも飼い主以外の人と接する機会。
  24. 飼い主が気を配る必要があるのは、生まれたばかりの子犬より、むしろ子どもたちの行動。
  25. 水口家での飼い主と犬との間にあった、暗黙の了解。
  26. 屋外で飼うなら、犬の立場になって考える必要がある。
  27. 犬のよだれは、人の汗に相当する。
  28. においを嗅ぎ回る犬は、人がニュースを確かめることに相当する。
  29. 動物病院の選び方で大切なのは、先生の思いやり。
  30. 曖昧な部分を残したほうが、犬との付き合いはうまくやっていける。

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