家具売り場に行くと、組み立て式のものが販売されています。
組み立て式の本棚。
組み立て式のデスク。
組み立て式のロフトベッド。
一般的に組み立て式は、完成品とは違って生産工数が少なくて済む分、低価格が特徴です。
組み立て式の低価格は、予算が厳しい人にとって大きな魅力に感じるでしょう。
一方、組み立てる必要があるため、おっくうに感じる人も多いでしょう。
わずかではありますが、理系的な要素があります。
力や体力に自信のない人は「きちんと組み立てられるだろうか」という不安もあるはずです。
大きさや重さによっては、誰かに手伝ってもらう必要があるかもしれません。
安く買える以外に、特別なメリットがないように思えます。
しかし、組み立てる手間暇は、本当にデメリットでしょうか。
ものは考えようです。
組み立て式の家具には、ほかにも大きなメリットが2つあります。
それは「思い出ができる」「愛着が湧く」です。
たとえば、デスクを組み立てるとします。
デスクとはいえ、ものによっては大きくて重たいので、組み立てるのに時間がかかるでしょう。
1人では組み立てられないと、誰かに手伝ってもらう必要があるかもしれません。
たとえそうだとしても、頑張って組み立てることができれば、それはそれで「思い出」になります。
手伝ってもらった人と「あのときは大変だったよね」となります。
また、苦労して汗を流して組み立てた家具なら、愛着も湧きやすくなるでしょう。
愛着は、目に見えないものですが、目に見えないからこそ大事です。
「組み立て」とは、見方を変えると「愛着を生むきっかけ」です。
手間暇をかけて組み立てた分だけ、心理的な要因が働き、愛着が湧きやすくなる。
手料理は苦労が伴っているからおいしく感じるように、組み立てた家具も苦労が伴っているから特別に感じます。
重くて疲れたなら、素晴らしい思い出になるでしょう。
苦労が伴った思い出になれば、話のネタにもなるはずです。
使うときも、愛着が湧いた分だけ扱い方が丁寧になり、長持ちしやすくなるでしょう。
扱い方が丁寧になった結果、組み立て式のほうが完成品より長持ちすることも少なくありません。
つまり、組み立てる手間暇は、思い出と愛着に役立つのです。
組み立て式は「価格が安い」というメリットだけではありません。
「思い出になる」「愛着が湧く」というメリットもあります。
こうしたメリットに気づけば「組み立て式は、完成品より完成されている」と考えることもできるでしょう。
完成品があっても、あえて組み立て式を選ぶのも悪くありません。
組み立て式には、組み立て式なりの趣と味わいがあるのです。