ナイフで肉を切るときは、基本的に左側から切っていくのがルールです。
いえ、肉ばかりではありません。
フルコースではさまざまな料理が出てきますが、一部のデザート類を除き、基本的に左側から食べていきます。
「そんなこと、当たり前だ」
では、当然だと思う人は、なぜ左側から切っていくのか説明できるでしょうか。
おそらくほとんどの人が「食べやすいからだ」と答えることでしょう。
たしかにそのとおりです。
しかし、もう1つ、左側から切っていく重要な理由があります。
一言で言えば「味を保ちやすくするため」です。
悪い例として、右側から切る状況を想像してみましょう。
右側の肉をフォークで刺して、ナイフで切ります。
切った後、もう一度、切った肉をフォークで刺して口へ運ぶことになりますね。
肉を刺す回数が多くなります。
おいしい肉汁がこぼれ落ちやすくなり、肉の味を損ねてしまいます。
では、正しい例として、左側から切る場合はどうでしょう。
左手に持っているフォークで肉を刺し、ナイフで切った後、そのまま口へ運べますね。
そのため、肉を指す回数が1回で済みます。
肉汁がこぼれにくい食べ方であり、しかも必要とされる動作が小さく、エレガントです。
肉ばかりではなく、他の料理でもおおむね同じ現象になるはずです。
左側から切るのは、そうした大切な理由があるのです。