人の赤ちゃんほど、無力な生き物はいません。
一般的に哺乳類は、生まれたばかりでもすぐ歩けるようになります。
たとえば、生まれたばかりの馬の赤ちゃんは、生後10分もすれば歩けるようになります。
10カ月ではありません。
たった10分です。
哺乳類は、十分な発育ができてから生まれます。
一方、人の赤ちゃんに限っては例外です。
未熟のまま生まれます。
ほかの動物に比べて、高度な知性を持つ人の頭は、体に対する比率が大きいのが特徴です。
頭が産道を通れる大きさのうちに、出産することになります。
当然頭が小さい状態ですから、脳はとても未熟です。
歩くことは当然、目も見えず、何もできない状態です。
およそ6カ月からハイハイができるようになり、1歳になってようやく歩けるようになります。
生まれてしばらくは、親が保護したりサポートしたりする必要があります。
力もお金もない赤ちゃんにとって仕方ない時期です。
そんな赤ちゃんも2歳、3歳と成長するにつれて、できることが増えます。
自分で食事ができるようになります。
自分で洋服が着られるようになります。
お金の使い方を覚え、買い物ができるようになります。
自転車に乗れるようになる。
初めは単純なことしかできなくても、成長するにつれ、次第に複雑なことを素早くできるようになります。
子どもができるようになったら、もう親は手伝う必要はありません。
できますから、子どもにさせるようにすることが大切です。
「自分ができることは自分でする」という習慣を持たせることです。
これが自立の第一歩です。
親は、それを促しましょう。
「自分のことは自分でしなさい」という言葉をかけて「もう親は手伝いませんよ」と宣言します。
何も立派にできる必要はない。
できる範囲でやらせることです。
それは別に、子どもに対して冷たくしているわけではない。
むしろ逆です。
子どもへの愛の表現です。
できるかぎり自分のことは自分でさせ、強くたくましい子に育ってほしいという愛の表現です。
単純なことではありますが、重要なことです。
「自分のことは自分でする」
そうすることで、自立が促され、強くなるのです。