宿題や仕事には「これで終わり」という区切りがあります。
「ここまでやれば、終わり」「これができたら終わり」という区切りです。
しかし、子どもの勉強には「これで終わり」はありません。
「これで終わり」なんて表現を子どもに使ってしまうと、どんどん子どもの行動が小さくなります。
「これで終わり」という表現は、そもそも「やらされていること」に対して、使います。
学校の宿題では「10ページから20ページまで予習しなさい」といわれます。
仕事では「この仕事を、来週までに仕上げなさい」と、上司からの命令があります。
これらはすべて、やらされていることに対してです。
子どもの可能性をどんどん広げる育て方には「これで終わり」をしてはいけないのです。
子どもは、自分が好きなことは容赦なくどんどん自分から飛びついていきます。
飛びつくくらい好きな勉強は、底なしです。
すればするほど、好きになってしまい「これで終わり」がないのです。
唯一「これで終わり」と子どもが使うのは、学校の宿題くらいです。
やらされていることに対しては、すべて「これで終わり」という、消極的な答えになるのです。
「これで終わり」の教育を止めるだけで、子どもは積極的になります。
「これで終わり」という口癖をやめましょう。
「これで終わり」の代わりに「好きなだけやりなさい」にすればいいのです。
私の家庭では、いつも「好きなだけやりなさい」という教育を受けてきました。
私は昔から機械が大好きでしたから、父が仕事場からもってかえる部品を使って、いろいろやってみました。
回路を作ろうとしたり、分解してみたり、回路同士をつなげて電気を流してみたり、いろいろなことをやっていました。
しかし、母は「もうやめなさい」と言いませんでした。
代わりに母は「好きなだけやりなさい」と言ってくれました。
好きなだけやりなさいといわれると、心置きなく本当に好きなだけやってしまいます。
しかし、そのおかげで私は早くから機械系には慣れ親しむことができていました。
今、私はシステムエンジニアという、仕事に就いています。
子どものころにやってきた機械の延長をしている仕事です。
子どものころ、好きなだけやったおかげで得意になり、今ではそれで食べていくことができています。
「これで終わり」というのは、限定であるのに対し「好きなだけやりなさい」は無制限です。
特に自分の好きなことに「これで終わり」があると、悲しいものです。
好きなことに、終わりを設けてはいけません。
好きなことだからこそ、どんどん突き詰めるのです。
人には、長所と短所があります。
初めから、得意な長所があるのではありません。
人一倍、どんどん突き詰めていった結果、得意になって長所になるのです。
子どもの長所をどんどん伸ばしてあげるには「好きなだけやりなさい」と言えばいいのです。