子どもを叱るときに、人格を否定する言葉を使わないことです。
人格を否定する言葉は、もはやしつけではなく、言葉の虐待と言っていいでしょう。
子どもは自分の存在価値の評価を落としてしまい、自信がなくなります。
しかし、叱り方に気をつけていても、自分でも気づかずに使ってしまう人格を否定する言葉があります。
私たちの日常会話で、しばしば耳にするため、気づけない言葉です。
「ばか」と「あほ」です。
これも、れっきとした人格を否定する言葉です。
相手の人間性を無視して否定するという、最悪の表現です。
特に、親の中には「冗談のつもり」で口にする人がいます。
「あなたは本当にばかね」
「そんなことをするなんて、あほだ」
地域によっては、挨拶や冗談のつもりで口にするところもあります。
少なくとも品があり、前向きになるような言葉ではありませんね。
冗談で言っているのかもしれませんが、素直な子どもは本気で信じます。
人格を否定されて、出来の悪い自分にひどく落ち込みます。
いえ、ばか・あほと言われ続ける身になりましょう。
「言われる」のではなく「言われて続ける」というのがポイントです。
親から「ばか」や「あほ」と何度も繰り返し言われ続けていると、どうなりますか。
子どもはだんだん洗脳されます。
「自分は生まれつき頭が悪いのか」
「どうせ自分はばかだから、努力をしても無駄だろう」
「こんな自分は、何をやっても仕方ない」
前向きな努力を怠るようになります。
さらに、物事に失敗したときも「自分はあほでばかだから仕方ない」という、口実をつけるようになる。
親に「ばか」と言われ続けた子がばかになるのは、本当の話です。
いくら軽い冗談とはいえ、その影響は思ったより大きい。
冗談を言うなら、もっと別の表現を使うことです。
品があり、知性を感じる冗談のほうが、はるかにかっこいい。
冗談のつもりが、本気になって受け止める人がいるかぎり、別の表現を使うほうが無難です。