執筆者:水口貴博

子どもを上手に叱る30の方法

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1つのおもちゃから、たくさんの楽しみ方を引き出すことが大切。

1つのおもちゃから、たくさんの楽しみ方を引き出すことが大切。 | 子どもを上手に叱る30の方法

幼いころ、おもちゃが欲しいと言っても、たいていの場合は断られました。

買ってもらうためには、厳しい条件があったからです。

「前回買ったおもちゃを徹底的に遊び尽くすこと」です。

「それくらいすぐできるだろう」と思っているのではないでしょうか。

これがなかなか難しいです。

一度遊んだくらいではいけません。

当然「飽きたから」という理由も通用しませんでした。

おもちゃが壊れるほど、1つのおもちゃをさまざまな角度から遊び尽くします。

ある日「迷路ゲーム」を買ってもらったことがありました。

普通は入り口からスタートして、ゴールまでたどり着けば終わりです。

だから次のおもちゃ……とはいきません。

親は「まだ楽しめるはず。もっと別の楽しみ方、別の遊び方を見つけなさい」と言います。

私は「そう言われてもなあ。スタート地点から入ってゴールして終わりじゃないか」と不満を漏らしていました。

しかし、ふとした瞬間、別の遊び方が浮かびました。

スタートからゴールを目指すのではなく、逆にゴールからスタートを目指すという遊び方です。

まったく逆方向ですが、迷路らしい楽しみを見つけました。

同じ迷路でも、2通りの楽しみ方を発見できます。

さらに頭をひねって別の楽しみ方が浮かびました。

「タイムアタック」です。

私と妹とで、どちらが早く迷路のゴールまでたどり着けるかを、時間を計って競い合います。

早くゴールまでたどり着いたほうが勝ちです。

ゴールまでいかに早くたどり着けるか、というスリル感がたまりませんでした。

なぜ親は、子どもが欲しがる物を何でも買い与えなかったのか。

説明書には書かれていない楽しみ方を見つける力を引き出すためでした。

「あれも欲しい! これも欲しい!」

子どもは好奇心旺盛おうせいです。

しかし、その子どもの好奇心のままに、欲しがっている物を何でも買い与えるのはよくありません。

何でも買い与えると、そのおもちゃの本当の楽しみや奥深さを見つけられなくなるからです。

おもちゃとはいえ、侮れません。

使い方によっては、深い楽しみを見つけることができます。

見つけるためには、おもちゃを骨の髄まで楽しみ尽くすことが大切です。

上から見たり、下から見たり、裏返したりなど、さまざまな角度から、思いつくだけの楽しみ方を発見します。

使い倒して、ぼろぼろになるまでです。

1つのおもちゃでも、いろいろな楽しみ方があります。

説明書にも書かれていないような楽しみ方を、自分で発見したり作ったりします。

1つのおもちゃでも、実質、たくさんのおもちゃを手に入れているのと同等になります。

自分なりにいかにたくさん見つけるかです。

迷路ゲームに限らず、どんなおもちゃでも共通です。

1つのおもちゃから、いかにたくさんの楽しみを引き出すかです。

親は「物をたくさん持つのではなく、少ないものからたくさんの楽しみを引き出す方法」を教えていました。

その教えが「子どもが欲しがる物を何でも買い与えない」という教育方法でした。

何度も迷路を楽しみ、ぼろぼろになるくらいまで使い込んで、ようやく次のおもちゃを買ってもらえる許しが得られます。

物をたくさん持つより、1つの物で多くの遊び方を工夫できるほうがいい。

子どもが欲しがる物を何でも買い与えないのは大切です。

その「制限」があるからこそ、子どもなりに試行錯誤して、楽しみを引き出す力を身につけるのです。

子どもを上手に叱る方法(17)
  • 説明書にも書かれていないような楽しみ方を発見したり作ったりする。
存在を肯定しながら叱ると、子どもは前向きになる。

子どもを上手に叱る30の方法

  1. 消極的な性格の原因は、親の叱り方にあった。
  2. 怒鳴られて育った子どもは、消極的になる。
    褒められて育った子どもは、積極的になる。
  3. 単に怒るだけではいけない。
    なぜいけないのか理由を必ず含めること。
  4. 「なぜ」は、魔法の言葉。
    子どもに質問すると、成長が促される。
  5. 人格否定・存在否定をしない。
    否定するのは行為だけでいい。
  6. 子どもにばかと言い続けると、本当にばかになるのは本当の話。
  7. 面倒でも、一人一人に接するのが一番効果は高い。
  8. 名前をきちんと呼んであげると、子どもは素直に言うことを聞く。
  9. ゆっくりした叱り方を心がけよう。
  10. 一度にいくつも指摘すると、どれも覚えられなくなる。
  11. 子どもの反省を促すためには、厳しい言葉より、長い沈黙のほうが効果的。
  12. 大勢の前では、叱らない。
  13. しゃがんで目線を子どもに合わせると、訴える力が強くなる。
  14. 行動を制限する言葉より、行動を変える言葉を口にする。
  15. 軽微な注意は、1分ルールを徹底する。
  16. 「ダメです」という表現を「よくない」という表現に言い変える。
  17. 1つのおもちゃから、たくさんの楽しみ方を引き出すことが大切。
  18. 存在を肯定しながら叱ると、子どもは前向きになる。
  19. 子育ての限界の兆候を見逃すな。
  20. いらいらしたときに、叱らない。
    怒ったときほど、叱らない。
  21. 自分より成長が早くても、気にしないように子どもを力づける。
  22. ひどい体罰をされた子は、親を否定し始める。
  23. 叱ったことが改善されていれば、すかさず褒める。
  24. 子どもに共感してから、叱る。
  25. どうすればいいのかわからないだけ。
  26. 子どもが高価な花瓶を落として割ったとき、あなたならなんと言いますか。
  27. 子どもの身の回りに高価な物を置かなければ、叱る回数も少なくなる。
  28. 叱った後こそ、いつもより話しかける回数を増やす。
  29. 子どもの話がわからなくても、うやむやにしない。
  30. 父と母が同時に叱るのは、逃げ場がなくなりショックが大きくなる。

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