アマチュアは、知識が増えて技術が向上すると、すぐ自慢をし始めます。
「すごいだろ」と言って、他人からの同意を得ようとします。
冗談交じりで言っているのではなく、本気でそう思っています。
「やはり自分はすごい、かっこいい、一番だ」
秀でた実力に、笑みを漏らします。
たしかにある程度、知識や技術はあるかもしれません。
上達がほかの人より早い人もいることでしょう。
しかし、どんなに実力のある人でも、そう思い始めたら、赤信号です。
自分はすごいと本気で思い始めたら、さらに向上しようとする努力を怠るようになるからです。
すごいから、もはや自分を磨く必要もないと思い、手を抜き始めます。
そういう姿勢では、そのうちほかの人に抜かれてしまうことになります。
童話『ウサギとカメ』では、最終的にカメが勝ってしまいました。
ウサギは、カメよりはるかに速い足を持っています。
ウサギは「自分は速い」と慢心して油断したから、カメに負けました。
どんなに速くても、手を抜けば、遅い人に抜かれます。
勝負の世界のおきてです。
だからアマチュアであり、またアマチュアから抜け出せません。
本当に知識と技術のある人は、必ず腰が低い態度です。
世界のどこかには、さらにすごい人たちがいることを知っています。
決して油断しません。
プロほど、競争の厳しい世界を自覚しています。
足を止めれば、誰かにすぐ抜かれることを知っています。
だから、知識の習得や技術の向上にも余念がなく、いつも「まだまだです」と言って、手を抜きません。
この「向上を忘れない」という姿勢こそ、プロには重要です。
その口癖があるかぎり、練習や努力を怠らず、トップの座を譲ることはないのです。