私がある日、漢字検定の勉強をしていたときのことです。
漢字の勉強は、ひたすら漢字を覚えるという作業です。
数多くの漢字を目の前に、覚える作業をしているとき、あることに気づきました。
「覚えやすい漢字」と「覚えにくい漢字」があります。
この差は、はっきり感じるほどです。
驚くべきことは、画数の少ない漢字でも覚えにくかったり、画数が多い漢字でも覚えやすかったりします。
たとえば、私は当初「流石」という漢字はなかなか覚えられませんでした。
覚えたつもりでも、すぐ忘れます。
「流」も「石」も小学生で習う基本的な漢字であるにもかかわらず、覚えるのに苦労しました。
一方で「模擬(もぎ)」という難しい漢字は、すぐ覚えられました。
難しい漢字ですが、すぐ覚えることができました。
簡単な漢字が覚えられなくて、難しい漢字が覚えられるという現象に、私は不思議な気持ちになりました。
なぜなのかと思って、覚えやすい漢字とそうでない漢字とを比べたとき「ある共通点」に気づきました。
読める漢字は覚えやすいが、読めない漢字は覚えにくいです。
私は「流石」という読みを知らないまま、覚えようとしていました。
これがいけなかった。
「流石」という漢字は「さすが」と読みます。
「さすがですね」というときに使う「さすが」です。
「模擬」という漢字は、見た目は難しそうですが「もぎ」という読み方を知っていたので比較的すぐ覚えられました。
それは、英単語を覚えるときも、同じ現象でした。
ここで、私たちは当たり前の法則に気づきます。
「読めないと覚えられない。読めるから覚えやすくなる」という法則です。
全教科、すべての勉強に共通する法則です。
覚えようとするときには、まず読めるようにならなければいけません。
読めない漢字や英単語を覚えようとすると、覚えにくくなります。
もし、読めない漢字や英単語が登場したときには「覚える」より先に「読み方を知ること」から始めましょう。
これが記憶の正しい順番です。
読めるようになってから、覚えられるようになります。
物覚えが悪いと嘆く人は、読めないまま覚えようとしているのではないでしょうか。
そういうときは、まず覚える前に、読みの練習から始めましょう。
漢字の勉強なら「書き取り」より「読み」を先に勉強します。
英会話、英作文の勉強より先に、まず「発音」できることから始めましょう。
もちろんネーティブのような発音をする必要はありません。
読めるようになれれば、それでOKです。
それが勉強の基本だからです。
とにもかくにも、まず徹底的に読めるようになるのです。
読めるようになるから、覚えられるようになるのです。