日本映画を代表する映画監督の1人に「黒澤明」がいます。
戦後の日本映画を代表する名監督の1人であり、世界的にも有名です。
彼は数々の名作映画を残していますが、その誕生エピソードはユニークで学ぶところがあり、注目に値します。
三船敏郎がまだ役者として駆け出しだったころ、演技に悩みを抱えていました。
もともと彼にはちょっと不器用なところがありました。
豪快でワイルドな演技が得意である一方、繊細な演技が苦手でした。
繊細な演技をしようとしても、不自然な様子が目立ち、なかなか監督の指示どおりの演技ができず悩んでいました。
そんなある日、黒澤明と出会います。
黒澤は三船との交流の中で、発想の転換がひらめきました。
それは「三船敏郎の個性を変えるのではなく、そのまま生かす」というものです。
さっそく黒澤は、闇市のヤクザを主人公とする映画撮影に取りかかり、結核を患う若いヤクザ役に三船を起用しました。
黒澤は、三船に演技指導は行わず、持ち前の個性を思いきり表現するよう伝えます。
それは三船にとって素晴らしい注文でした。
三船は、持ち前の豪快でワイルドな個性を生かすことで、リアルで迫力ある演技をぐいぐい発揮していきます。
そうして生まれたのが黒澤監督と三船敏郎の初コンビ作品『酔いどれ天使』です。
主人公のリアルで迫力のある演技が高く評価され、日本映画大賞を獲得します。
その後も黒沢と三船のコンビ作品が続き『羅生門』『7人の侍』『用心棒』といった名作を生み出します。
それらの作品は、国内だけでなく、世界にも評価されました。
国際的な名声を得ることとなり「世界のクロサワ」と呼ばれるようになったのです。
三船敏郎もまた、名役者として確固たる地位を築き上げることとなります。
持ち前の個性を変えようと思っても、簡単に変えられるものではありません。
持ち前の個性は、変えるのではなく、生かすのが賢明です。
持ち前の個性を生かせる場を見つけることです。
生かせる場がなければ、自分で作り出しましょう。
持ち前の個性を出すだけなら、我慢したり頑張ったりする必要はありません。
ありのままの自分を100パーセント出すだけになります。
三船敏郎が持ち前の個性を生かすことで魅力を発揮できたように、あなたも持ち前の個性を生かすことで魅力を発揮できます。