あなたにはきっと食べ慣れているものがたくさんあるでしょう。
シチュー、親子丼、ドリア、塩おにぎり、牡蠣、リンゴ。
食べ慣れているくらいですから、味も香りも食感もよくわかっているでしょう。
目をつぶっていても簡単にイメージを浮かべられるでしょう。
食べ慣れているものは慣れているゆえに特別感がありません。
食べてみても「普通だね」「いつもの味だね」と思って終わりになるでしょう。
しかし、この「食べ慣れている」という感覚が厄介です。
「思い込み」が関係していることが少なくありません。
「食べ慣れている」と思うと、つい避けてしまいがちです。
特別感がありません。
「味もイメージもよくわかっているものだから、食べるのはまた今度でいいよね」と思います。
メニューを見たときも「これは食べ慣れている」と思って選択肢から外します。
「食べ慣れている」という一言で済ませてしまうことが多い。
別の場面でも「食べ慣れているから今回はやめておこう」となります。
それが何度も繰り返されていきます。
冷静に振り返ると、久しく食べていないことが少なくないのです。
たとえば、シチューです。
日常的な食べ物ですね。
シチューは食べ慣れているものですから、味やイメージもすぐ浮かぶでしょう。
では、最後にシチューをいただいたのはいつでしょうか。
最近食べたばかりの人もいるかもしれませんが、意外と久しく食べていない人も多いのではないでしょうか。
「食べ慣れている」という感覚があると「いつも食べている」という思い込みにつながりやすい。
「食べ慣れている=いつも食べている」という誤認があると、食の選択肢から外すことが無意識の習慣になります。
冷静に振り返ってみると、久しく食べていないことがあるのです。
食べ慣れているものだからといって、よく食べているものとは限りません。
食べ慣れているものであっても、最近食べていないなら、たまにはきちんと食べておきましょう。
たまには食べておかないと、味や食感を忘れてしまいます。
目安は「1年」です。
1年以上食べていないものは最近食べていないことになるので、久しぶりに食べてみる価値があるでしょう。
「そういえば最近食べていないね」と思ったらゴーサインです。
久しぶりに食べてみると「そうだ。こんな味だったね。こんな食感だったね」と小さな感動を体験できるでしょう。
懐かしい感じや不思議な感覚を楽しめるに違いありません。
記憶の回想が起こって、何らかの気づきが得られることもあるでしょう。
小さな感動は、食べ慣れているものにあるのです。