試合前、相手選手にしてはいけない目の合わせ方があります。
「目を見ない」「視線を外す」「にらむ」です。
いずれも、自分の立場を不利にさせるため、控えたほうが無難です。
では、相手選手の目を、どう見ればいいのでしょうか。
にやりとした笑顔で、相手の目をじっと見つめることです。
歯を見せるほどの笑顔は不要です。
口を閉じて、軽くにやりとした状態のまま、じっと相手の目を見つめます。
これが最もスマートです。
スポーツマンとして、気持ちのいい挨拶です。
しかし、同時に、心理的に強い衝撃を与えられる方法でもあります。
目をじっと見つめるのは、自信の表れです。
にやりとした笑顔で相手の目をじっと見つめていると、相手選手はだんだんたじろいできます。
「絶対に勝てますよ」というメッセージを伝えることができ、心理的に有利な立場に立てるのです。
にやりとした笑顔には、深い意味が込められているようにも見えます。
「弱点をつかんでいますよ」
「必殺技を見せてあげましょう」
「過去のデータから、動き方は読めていますよ」
いろいろな解釈ができてしまいます。
しかもどの解釈にせよ、あまりいいことではありません。
そうした不安を感じるため、本当の意味で、相手を動揺させられるのです。
事実、試合前の対面では、プロスポーツ選手ほど、にやりとした笑顔でお互いに見つめ合っています。
にやりとした笑顔に、にやりとした笑顔で返し、ずっと見つめ合っています。
仲がいいのかなと思うほどです。
すでにそこから、心理戦がスタートしているのです。