初めてシンガポールに行ったとき、時計を持っていきませんでした。
「時計くらい現地にたくさんあるだろう」
そう甘く考えていました。
これが間違いでした。
やはり国が違えば、事情は大きく異なります。
たまたま私が見て回ったところに時計がなかったのかもしれませんが、行く先々で時計がありませんでした。
パッケージツアーではなく、一人旅だったので、時間がわからなくて大きな不都合があるわけでもありませんでした。
「まあ、いいか」
あまり気にせず、見たいところを次々と見て回りました。
早起きして、マーライオンを見に行きました。
その周辺にある珍しい建物をいくつも見て歩いていると、メモリアルのような石碑がいくつかありました。
シンガポールの発展に貢献した日本人をたたえる石碑のようでした。
週末だったので、教会で何かイベントのようなものをやっていました。
こっそり参加者のふりをしてのぞいていました。
歩き疲れて、おなかが減ってきたので、昼食のつもりで軽い食事を済ませ、また歩き始めました。
地下鉄を使って別の場所へ移動して、珍しい寺院もいくつか回りました。
その寺院で、ようやく時計を見つけました。
「え!」
驚きました。
体感としては15時くらいかと思っていましたが、違いました。
まだ朝の10時だったのです。
最初は時計が壊れているのかと思ったほどです。
もっと長く時間が過ぎているように思えていました。
実は、こうした経験、シンガポールを旅行したときだけではありませんでした。
すべての海外旅行をするたびに、長く感じられる1日に驚かされます。
そうした経験を積んでいくうちに、気づきました。
なぜ海外旅行をすると、1日が長く感じられるのか。
私たちが年を取るにつれ、時間が経つのが早く感じられます。
いくつか諸説がありますが、海外旅行の体験から1つわかりました。
年を取るにつれ、刺激的な出来事が減り、単調な繰り返しが増えるからだとわかりました。
毎日同じ時間に起き、同じ道を歩き、同じ仕事をして、帰宅して寝る。
同じことの繰り返しです。
単調な繰り返しであり、かつ刺激が乏しくなると、1日があっという間に過ぎると感じます。
1日を長く感じるためには、単調な繰り返しを減らし、変化に富んだ刺激的な生活を送ること。
そうすることで、少しでも人生が長く、豊かに感じられるようになるのです。