執筆者:水口貴博

自立できる子どもに育てる30の教育法

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「ダメな子」と言うと、子どもがダメになる。「それでいいんだよ」と言うと、成長する。

「ダメな子」と言うと、子どもがダメになる。「それでいいんだよ」と言うと、成長する。 | 自立できる子どもに育てる30の教育法

子育てには、子どもに言ってはいけない禁句があります。

「ダメな子」です。

子どもが失敗をしたときに「何てことをするの! ダメな子ね」とひどく叱る親がいます。

ダメな子という言い方をされると、子どもは自分の人格を否定された気分になります。

最初は誰でもわからないことだらけです。

失敗しない子どもなんて、聞いたことがありません。

子どもは、失敗のプロです。

親は子どもの失敗に対して、寛容になる姿勢が求められます。

子どもには「ダメな子」とだけは、言わないようにしましょう。

「ダメな子」では、子どもの人格を否定してしまうことになります。

代わりに「それでいいんだよ」と言えばいいのです。

「それでいいんだよ」という言葉は、肯定する言葉です。

失敗しても「それでいいんだよ」と一言言われるだけで、許された気持ちになれるのです。

私は、車の免許を取るときに、最後の卒業検定の実技で落ちてしまいました。

それまでは、ずっとストレートで車の試験に合格していたのに、最後の最後で落ちてしまいました。

一生懸命に勉強し、それも真面目にやっていただけに、大きなショックを受けて落ち込んでいました。

私が落ち込んだ様子で、実技で落ちてしまったことを母に話すと「そうそう、それでいいんだよ」と言われました。

母は優しい顔で、こう続けて言いました。

「ストレートで合格したら、調子に乗って車を運転してしまう。何回も失敗を味わいながら、練習するほうがいい」と言いました。

私ははっとしました。

この一言に、私は一気に救われました。

母は、車を運転するのが苦手な人です。

母も私と同じように、免許を取るときに苦労した分、私の気持ちがわかるのでしょう。

母は私のことを理解しているだけでなく、私の失敗をも受け入れてくれます。

そんな母を、私はさらに尊敬してしまいます。

私の母の哲学は「失敗をしなさい」ということです。

私は小さいころから、たくさん失敗をしましたが、いつも母の失敗を受け入れる優しさに何度も救われてきました。

失敗して、叱られてやる気はなくなっても、許されてやる気がなくなることはありません。

「それでいい」という母の前向きな失敗を受け入れる姿勢が、いつの間にか私にも移ってしまったようです。

その後、私は無事に、実技にも合格し、今は運転免許を持っています。

車の免許を取るときの失敗は、今となっては母の優しさを知った思い出の1つになっています。

自立できる子どもに育てる教育法(12)
  • 「ダメな子」と言うのではなく「それでいいんだよ」と言う。
親の口癖は、人生の教訓。

自立できる子どもに育てる30の教育法

  1. 子どもは、自分から自立していく。
  2. 勉強は、学校で学ぶ。
    感情は、家庭で学ぶ。
  3. 甘えさせてもいい。
    ただし、甘やかしてはならない。
  4. 「難しい」と答えると、子どもは自立できない。
    「簡単」と答えると、子どもは自立する。
  5. 子どもは、親の真似をする。
    自立した親からは、自立さえも真似をする。
  6. 「痛み」を経験することで、免疫ができる。
  7. 親が笑うと、子どもは安心する。
  8. 子どもの経験を、親が横取りをしない。
    自分のことは、自分でさせるだけでいい。
  9. 子どもに押し付ける親は、失敗する。
    子どもに任せる親が、慕われる。
  10. 「子どもを理解する親」が、愛される。
  11. 育て上手な親は、子どもと「つかず離れずの距離」を取る。
  12. 「ダメな子」と言うと、子どもがダメになる。
    「それでいいんだよ」と言うと、成長する。
  13. 親の口癖は、人生の教訓。
  14. 働く姿を見せると、子どもは自立できる。
  15. 自分の部屋を持つことで「管理能力」を養うことができる。
  16. 自立するために必要なのは、親離れより子離れ。
  17. 子どもにあえてお金を持たせることで、金銭感覚を磨かせることができる。
  18. 「叱る教育」ではなく「褒める教育」をする。
  19. 聞くは一時の恥。
    聞かぬは一生の恥。
  20. 大事な場面での沈黙が、子を育てる。
  21. 勝ち負けより、全力を出し切ったかどうかが大切。
  22. 「大丈夫」と言うだけで、子どもの可能性は広がっていく。
  23. 自分のことを教えてくれる一番の先生は、自分だ。
  24. 学生の仕事は「勉強」だ。
  25. 子どもの長所は、好きなだけやらせるときに、大きくなる。
  26. 「何になりたいか」より「何がしたいのか」。
  27. 家族旅行で、親の自立した姿を見せることができる。
  28. 「自問自答」できる人が、自立する。
  29. 「かわいい子には、旅をさせよ」
  30. 泣きたいときには、泣かせてあげよう。
    泣くことで、子どもは強くなる。

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