私は子どものころ、父の仕事現場を見たことがあります。
見せてもらったときは、仕事が終わった後だったので誰もいませんでしたが、実際に父が仕事をしている机を生で見たのです。
父にはいつも自分が仕事をしている部屋と机を見せただけなのでしょうが、私にとってこれは大切な出来事でした。
私の父は、いつも仕事で忙しく、あまり家にいません。
そのため、父の仕事現場は見たことがなかったのです。
父が仕事をしている部屋と机を見たときに、今まで私の中でもやもやしたイメージがはっきりしたのです。
「いつもここで仕事をしているのか。この机に座って仕事をしているのか」と、頭の中で父の働く姿が想像できるのです。
親が子どもに働いている姿を見せるのは、子どもにとってとても大きなことなのです。
子どもは、将来必ず大人になります。
そのとき、どう仕事をすればいいのか、どういう大人になればいいのか、一番の手本になるのは、自分の親の働く姿なのです。
ベストなのは、親と一緒に現場で働いてみると、理想的です。
想像できるだけでなく、体験できます。
大人になるための下準備は、できるだけ早くに知ってもらい経験してみることが大切です。
なかなか親は、自分の仕事を見られることを恥ずかしがるようです。
しかし、将来の子どもの自立を考えれば、役立つ経験です。
親が働く姿を見せることは、勉強や塾、習い事より、よほど子どもの成長に結びつくことなのです。
仕事中に自分の肉親が叱られている姿でもいいのです。
叱られている姿も、子どもには決して学校では教えてくれない貴重なことなのです。