夫婦の関係をお話しする前に、まず大切なことがあります。
結婚する「前」と「後」とでは、男女関係に違いがあるということです。
もちろん一から十までが完全に変わるわけではありませんが、関係が変わります。
結婚する前の段階は、いわば「お付き合い」の状態です。
愛し合っていて、お互いがお互いを見つめ合っている関係です。
興味や関心が相手に向いています。
恋愛で付き合っているのは、まさにそれに当たります。
一方、夫婦関係になると、一転します。
もちろんお互いが愛し合うという基本部分は変わらないですが「見る方向」が大きく変わります。
お付き合いのころは「お互い同士を見つめていた状態」でしたが、結婚すれば「共に社会を見る方向」へと変わります。
社会という大きな壁を乗り越えていくために、夫婦が手をつないで、協力しながら立ち向かっていくイメージです。
これが、結婚後の夫婦の形です。
夫婦関係ともなれば、1つ屋根の下で一緒に暮らすことになります。
雨の日も、風の日も、どんな日もです。
お付き合いのときは、喧嘩をすれば、部屋を出ていけばいいだけの話でした。
最悪の場合、別れればいいだけの話です。
特にこれといった書面の手続きも必要なく、罰金も不要です。
しかし、夫婦となれば、そうもいきません。
少々喧嘩をしても、一緒に暮らさなければなりません。
結婚は、婚姻届に実印を押して、役所に提出するという正式なものです。
2人だけの関係に限らず、お互いの両親も関係します。
もちろん子どもがいれば、別れようにも別れられません。
子どもの将来のためにも、やはり父親と母親がいたほうがいい。
お金の使い方も変わります。
恋愛のときは、男女が別々に使っていればよかった。
男の財布があり、女の財布も別々でした。
しかし、夫婦となると、財布は「2つ」から「1つ」になります。
もちろんお小遣いのような個人的な財布はありますが、家庭を運営していくための財布は1つになるはずです。
これが「生計を一にする」ということです。
大きな買い物をするときには、家計の様子を見ながら、パートナーに相談をしてから決定になります。
身勝手なお金の使い方ができなくなります。
したがって「恋愛関係」と「夫婦関係」は違います。
恋愛の調子のままで結婚すると、度肝を抜かれます。
結婚しているにもかかわらず、2人がばらばらの行動や考え方では、なかなかうまくいきません。
結婚したら、別のステージに移ると思ってください。
そういうものだと知ることができれば、おのずから夫婦関係の考え方が見えてくるはずです。
「生計を一にする」
「一生、協力して生きていく」
それが結婚であり、夫婦です。
恋人関係と夫婦関係は、似て非なるものです。