ひどい言葉は、言うほうは忘れていても、言われたほうが覚えているものです。
子どものころを思い出してください。
人からひどい言葉を言われて、強烈なショックを受けた経験があるでしょう。
ばかにされた一言、心をえぐるような悪口、悪質な誹謗中傷。
ほんの一言であっても、ぐさっと心に突き刺さった言葉は、忘れようにも忘れられません。
子どものころの出来事にもかかわらず、大人になっても覚えているはずです。
ひどい言葉は、感情が激しく揺さぶられるため、記憶に深く刻まれるのです。
言葉は「便利な道具」である反面、使い方を誤れば「鋭い刃物」になります。
ひどい言葉は相手の心にぐさりと突き刺さり、心に傷を負わせます。
体の傷はしっかり休養を取れば比較的スムーズに回復しますが、心の傷は違います。
心の傷は治るのが遅く、体の傷より何倍も何十倍も時間がかかります。
程度によっては一生癒えない傷になることもあるのです。
ところが一方で、ひどい言葉を言った側は覚えていません。
言った瞬間に忘れます。
「あのときこんなひどいことを言ったよね」と問いだしても「そんなこと、言ったっけ?」という反応しか返ってきません。
知らないふりをしているのではなく、本当に覚えていないのです。
言った側には、傷を受けません。
傷を受けるのは、言われた側です。
加害者であるにもかかわらず覚えていないのは納得のいかない話ですが、これが現実です。
誹謗も中傷も、言う側は忘れますが、言われた側はずっと覚えています。
ひどい言葉を言われて心に深い傷を負った側は、ことあるごとに「あのときの一言は忘れられない」と恨むことでしょう。
言う側と言われた側には、記憶の残り方に大きな隔たりがあるのです。
ひどい言葉は、とにかく言わないほうがいいのです。
うっかり口にした一言で、相手の心に深い傷を負わせてしまうかもしれません。
時には一生の傷を負わせてしまうこともあります。
自分の知らないところで、相手から恨まれ続ける可能性もゼロではありません。
しばらくたってから、後から面倒なトラブルに発展する可能性もあります。
ひどい言葉は、心で思うことはあっても、口に出さないことです。
悪口も誹謗中傷も、傷つく言葉はすべて禁句にするのが賢明です。
ひどい言葉を一切言わないようにすれば、人間関係のトラブルは大幅に減るのです。