出世を目指すうえでやってはいけないことがあります。
「上司を褒める」という行為です。
上司を褒めてはいけません。
「どこがいけないの? 褒めるのはよいことじゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、ここはよく勘違いされるところです。
褒めるという行為は、上の立場の人が、下の立場・同じ立場の人に向かってすることです。
親が子どもを褒めることも教師が生徒を褒めることも、上の立場の人が下の立場の人に向かってするから自然です。
友人同士や恋人同士で褒め合うのも、同じ立場同士のため問題ありません。
一方、部下が上司を褒めるのは、立場をわきまえない発言となるため注意が必要です。
たとえば、上司に「いつも仕事熱心で偉いですね」と褒めれば、むっとされるでしょう。
「この仕事はなかなかよくできているね」と褒めれば、上司を不快にさせるのは間違いありません。
良かれと思った褒め言葉が思わぬ誤解を招きます。
上司は上から目線で言われたように感じて、強い反感を覚えるでしょう。
上司を褒めてはいけないのです。
褒めていけないなら、どうすればいいのでしょうか。
大切なのは「褒めること」ではなく「認めること」です。
上司を褒めるのはNGですが、認めるのはOKです。
認める行為は、褒める行為とは違い、誰に対してもできます。
あなたの上司に素晴らしいところがあれば、褒めるのではなく、認めてください。
たとえば、上司が大量の仕事を素早く片付ける場面があるとします。
「すごいスピードですね!」と言えば、上司も誇らしく感じるでしょう。
部下の失敗を上司が許す場面があるとします。
「心が広いですね。私もそんなふうになりたいです」と言えば、上司としては自尊心をくすぐられるでしょう。
上司が子どもの誕生日で早めに仕事を切り上げて帰宅する場面があるとします。
「ご家族思いですね。きっと息子さんも喜ばれると思います」と言えば、上司も笑顔になるでしょう。
誤解しないでほしいのは、ごますり・ご機嫌取りになれと言っているのではありません。
上司の良いところを認めていくだけのこと。
「ただ事実を述べているだけ」と思ってください。
「上司を認めるところがない」と思うかもしれません。
尊敬できない上司だとして、じっくり観察していいところを探してください。
どんな上司にも必ずいいところが1つはあります。
「ここが素晴らしい」と思うことがあれば、すかさず認めましょう。
上司も人です。
自分のことを認められると嬉しく感じるものです。
自分のことを認めて肯定する部下がいると、やはり気分がいいもの。
上司を認めていくと「かわいげ」が出てきて、付き合いやすい部下として認められるでしょう。
認める行為は、誰に対してもできるので、部下や同僚に対しても有効です。
部下や同僚を認めれば人間関係も良好になっていき、サポートも得られやすくなるでしょう。
そして働きやすい職場にもつながります。
出世したいなら「認め上手」になってください。
上司を認めると、上司からも認められます。