「上手にできることが好きなこと」という事実と「好きだから上手にできる」という2つの事実があります。
たしかに上手にできることは好きになれますし、好きなことだから上手にできることでしょう。
どちらも正しく聞こえますが、より現実的なことは「好きだから上手にできる」と言うほうが当たっています。
上手にできることとはいえ、必ず最初は「好きなこと」から始まります。
好きだから始めは下手でも上手になり、長く続けられ、その結果素晴らしい技術が身につきます。
先日、三軒茶屋で世界の大道芸がありました。
東京の三軒茶屋は毎年10月の終わりに、大きな大道芸『三茶de大道芸』があることが有名です。
町の至る所で世界的に有名な大道芸人たちが演技をします。
私は三軒茶屋に住んでいますから、もちろん見に行きました。
特に印象的だったのは、けん玉の名人である伊藤佑介さんのけん玉演技でした。
けん玉を両手に持ち、玉がどう動いているのかわからないような演技をして観客を釘付けにします。
彼の演技の前には、ささいな自己紹介がありました。
「私は好きでけん玉を始めました。普段は1人。家の中でこそこそとけん玉をしています」と謙虚に前置きしました。
私はその控えめで謙虚な態度と、技は一流の彼にとても好感を持ちました。
好きだからやめられず、家でこそこそと練習をしている彼が目に浮かびます。
またジャグリングの名人である目黒陽介さんですが、自己紹介のときに同じく「好きで始めてここまできました」と言っていました。
「好きだから毎日続けられ、だんだんうまくなりここまでできるようになりました」という自己紹介に好感を持ちました。
ほかの大道芸人も自己紹介はするのですが「得意だったから好きになりました」と言う人は不思議なことに1人もいませんでした。
決まってみな「好きだから……」という一言で始まったことが印象的です。
才能は最初からあったわけではなく、好きだという気持ちこそが「才能」です。
好きだという気持ちがあれば、集中ができ、長続きもするし、できなくても根気で乗り越えます。
好きという気持ちがあるだけで、才能があるということなのです。
あなたは才能探しをしていませんか。
自分はできることが何もないと、落ち込むことはありませんか。
あなたができることは、まず「好きなこと」です。
好きなことからスタートしたことがいずれあなたの得意科目となり、あなたの強みへと変わります。
才能はどこか遠くにあるものではなく、単純にあなたが大好きなことそのものが「才能」です。
単純に好きだから続けられ、一生懸命になっていれば、必ず人一倍うまくできるようになります。