人の思考は、大きく分けて2種類あります。
「収束的思考」と「拡散的思考」です。
アメリカの心理学者、ジョイ・ギルフォードが提唱した概念として有名です。
この概念は、論理的思考をするうえでは、欠かせないポイントです。
同じ思考とはいえ、役割が異なります。
それぞれを状況に応じて、活用することで、問題解決がスムーズになります。
拡散的思考とは、常識や先入観などあらゆる制限をなくすことで、思考を拡散させるときの思考モードです。
既知の情報から、さまざまな方面に考えを拡散させ、あれこれ思いをめぐらしながら新たな考えを生み出していきます。
一般的に発想やアイデアを出すときに役立つ思考モードです。
入浴中や散歩中といったリラックスの時間に、ふとアイデアが思いついた経験はないでしょうか。
それは、拡散的思考が働いたからです。
無意識のうちに、思考の制限が取り払われることで、常識や先入観にとらわれない思考を実現できます。
そのため拡散的思考は、制限にとらわれない、自由な思考をしたいときに役立ちます。
拡散的思考が行われる代表例は、ブレーンストーミングです。
ブレーンストーミングは、参加者が自由に多くの意見を出しあうことで、独創的なアイデアを引き出す集団思考法です。
常識や先入観にとらわれず、思考を自由な状態に拡散させることで、発想やアイデアが思いつきやすくなります。
仲間がいなければ、1人でブレーンストーミングを行うのもいいでしょう。
収束的思考とは、既知の情報から論理的に思考を進めていき、唯一の正解に早く正しく到達するための思考法です。
考える対象範囲は狭いですが、集中することで、思考を深く掘り下げていくことが可能になります。
すでに必要な材料が揃っていて、問題解決を急ぐ必要がある場合は、収束的思考が最適です。
たとえば、難しい問題を解くときです。
考えなければいけない問題が決まっている場合、徹底的に思考することで正解を見つけていきます。
制限時間がなければ、時間をかけてでもいいので、深く突き詰めていくことが大切です。
じっくり突き詰めていくことで、どんどん思考が深まり、突破口を見いだせる可能性が高まります。
ただし、収束的思考は「長時間の持続が難しい」という欠点があります。
集中力を要するため、長く続けようとしても、一定時間が経つと集中力が途切れます。
収束的思考で思考するなら、適度に休憩を入れながら行うのがいいでしょう。
最初は拡散的思考によってアイデアを膨らませ、次に収束的思考によって絞り込みと深掘りが行われます。
エジソンやアインシュタインも、意識的に収束的思考と拡散的思考を活用したといわれています。
拡散的思考で発想やアイデアがひらめいた後、収束的思考で深掘りしていました。
特筆すべきは「両方を同時に行うのは不可能」という点に注意が必要です。
思考するなら、どちらかのモードに切り替える必要があります。
無意識に収束的思考と拡散的思考を使い分けている人もいるかもしれませんが、今度は意識的に使い分けてみてください。
あなたも収束的思考と拡散的思考を場面に応じて使い分けることで、今まで以上に思考がはかどるでしょう。