寿司屋で、寿司に関する知識をひけらかす人がいます。
「寿司」と一言で言っても、魚の種類、脂の乗り具合など、ご飯の握り具合など、奥が深いものです。
握り寿司に関して少し知識を得たばかりの人は、自分の豊富な知識を認めてもらいたいがために、うんちくを話し始めるのです。
この知識のひけらかしには、2種類あります。
「不快になる知識の自慢」と「気分のよい知識の自慢」です。
単なる、うんちくくらいならまだいいのです。
しかし、何かを否定することで、知識の豊富さをアピールするのはよくありません。
たとえねネタが悪くても、直接声に出して言うのはマナー違反です。
食べている最中に「乾燥している」「ネタが古い」など、否定の言葉を聞かされると、食事のおいしさが損なわれます。
こうしたひけらかし方は、食事の際に限らず、普段の生活に置いても注意するのがマナーです。
すべてのひけらかしがマナー違反かというと、そうでもありません。
気分のよい知識の自慢の場合があります。
褒めながら、ひけらかすときです。
褒めることは、職人も同席者も明るくさせます。
「いい脂が乗っているね」
「すごい。表面がきらきら光っている。これは新鮮なネタだね」
知識人のこうした褒め言葉は、聞いていて気持ちいいものです。
職人としても、作りがいがありますし、同席者も勉強になりますし、店内の雰囲気も明るくなります。
どうせ知識をひけらかすなら、悪口ではなく、褒め言葉です。
事実、通のうんちくの中には、知らなかった内容や勉強になる話もあります。
それを聞くことで「へえ。そうだったのか。なるほど」と思って、より味わいやすくなることがあるのです。
世界観が広がり、今まで感じられなかった味わいが感じられるようになるのではないでしょうか。
どうせ通のふりをするなら「褒めること」です。
あまりくどい内容はいけませんが、TPOをわきまえながら褒めるなら、気持ちよく知識をひけらかせます。