「日本は技術大国」と言われます。
資源が乏しい小さな国であったため、限られた素材をうまく組み合わせざるを得ない状況でした。
そこに日本の箸を使って食事をする文化も影響した結果、手先が器用になり、高度な技術にたけるようになりました。
小さなところにたくさんの物を器用に詰め込んだり、組み合わせたりするのが大変得意です。
そういう環境であったため、技術にたける遺伝子が、日本人に秘められています。
特に精密機械では、その手腕が存分に発揮されています。
「Panasonic」や「SONY」などの大企業が世界進出していますが、日本人が持つ技術が底力になっています。
さて、技術力の手腕が発揮されているのは、精密機械だけではありません。
高い技術によって世界進出を果たした、日本料理があります。
それが「握り寿司」です。
手先の器用さと、握り寿司に何の関係があるのかと思いますが、関係あるのです。
いまや握り寿司は「sushi」という日本語が、そのまま通じてしまうほど、世界中で認知されています。
お寿司が世界進出したのも、日本人の技術の高さが根底にあります。
寿司職人は、一人前になるまでに、大変長い時間がかかります。
ご飯の炊き方を覚えるまでに3年。
握り方を覚えるまでに8年。
一人前の握り寿司職人として認められるまでに10年、といわれます。
ご飯に刺し身を乗せるだけだろうと思います。
しかし、そうではないのです。
裏には、並々ならぬ技術や努力が隠れています。
寿司屋のご飯は、ぱらぱらこぼれ落ちやすいと思いませんか。
それは逆に言えば、ご飯の一粒一粒が、しっかり整っている証拠です。
ご飯粒をよく見ると、1粒ずつがきれいな形で整っています。
また、ネタの色は、色鮮やかだと思いませんか。
本来、肉は切った瞬間から酸化が始まり、すぐ色あせていきます。
特に魚は、もともと低温の中で生きている動物ですから、室温で切るとあっという間に乾燥と酸化が進み、変色します。
逆に言えば、色鮮やかなのは「できたばかり」というなによりの証拠です。
取れたばかりの魚を使って、切った瞬間に新鮮なご飯の上に乗せ、素早く提供する。
手先が器用な日本人が最も得意とするところです。
だからこそ、握り寿司は飛び抜けておいしいのです。
握り寿司が世界進出を果たしたのも、日本人の高い技術力が品質の高い食事に現れた結果なのです。