「歩いていると、気持ちが晴れやかになった」
「散歩をしていると、なぜか元気が出る。テンションが上がる」
「ウォーキングは、疲れるどころか、身も心も軽くなる」
散歩の習慣を持つ人は、こうした不思議な体験をしたことがあるのではないでしょうか。
歩き出す前までは「面倒だ。嫌だ。つらい」と思っていたはずが、歩き出し始めると、思いのほか気分が高ぶって続けてしまう。
あらためて考えると、不思議です。
歩けば余計に疲れて、元気もなくなってしまいそうですが、逆に疲れが取れて元気も出てきます。
この状態のことを「ランナーズ・ハイ」といいます。
ランナーズ・ハイとは、マラソンやジョギングなどしばらく続けていると得られる、陶酔状態のことをいいます。
途中で一時的に苦痛が薄れ、ずっと走り続けられるような感覚になります。
では、なぜそういう陶酔状態に陥ってしまうのでしょうか。
体をしばらく動かし続けていると、脳内で「ベータ・エンドルフィン」というホルモンが分泌され始めるためです。
この成分の分子構造は、麻薬と似た構造をしています。
そのため、一時的に気分がよくなったり、感じているはずの疲れを感じなくなったりします。
いわば「自然の麻薬」です。
体を動かすと、疲れが取れて元気になります。
麻薬に似ているとはいえ、もちろん麻薬のように体に害を与えたり強い中毒症状を起こしたりするものではありません。
体内で生成されますから安全性が高く、歩くのをやめてしまえば、自然と分泌も収まります。
疲れがなく元気がないときに歩くのもいいですが、疲れがあったり元気がなかったりしたときこそ、歩くのです。