「昔はよくゲームをやっていたのに、今は完全にやらなくなったな」
ある日、父から言われました。
たしかによくやっていた時期がありました。
1日中やっていました。
私は今、完全にゲームをやらなくなりました。
嫌いだからではありません。
面白すぎるからです。
「夢中になって抜け出せなくなった」という苦い経験があります。
それも浪人中にです。
最後に手を出したゲームは、PCエンジンの『ダンジョンマスター セロンズ・クエスト』という3D型RPGです。
面白いゲームでした。
迷路のような迷宮の中で敵を倒しながら進めていくスタイルのロールプレーイングゲームでした。
このゲームの特徴は、時間経過がリアルタイムである点です。
食事をしないと体力が減ってしまったり、敵が近づくと足音が聞こえたり、持ち物の重さによって行動が制限されたりします。
現実世界のような設定でした。
そうした現実味を帯びた設定に刺激され、現実世界を忘れてしまうほど夢中になってしまいました。
もちろん浪人中の身です。
少しくらいのゲームならストレス発散でいいでしょう。
しかし、一度やり始めたRPG型ゲームに完全に夢中になり、抜け出せなくなりました。
勉強をするためには、ゲームから抜け出さなければいけない。
「ゲームばかりしている場合ではない」というのはわかっていましたが、抜け出せません。
アルコール中毒やカフェイン中毒は、一度なってしまうと抜け出すのに苦労するといいますが、それと同じです。
ゲーム中毒も、一度なってしまうと、抜け出すのに苦労します。
特にRPGは厄介です。
抜け出す方法は何か。
私が決断した方法は、大胆な方法でした。
「いっそのことゲームに集中して、すべてクリアしてしまう」という方法でした。
集中してゲームを終わらせれば、区切りがつき、忘れることができるはずだと思いました。
同時に「クリアしたらもうゲームはやらないぞ!」と強く誓いました。
ゲームに集中した結果、3日でクリアできました。
もちろんこの3日間は、まったく勉強できていなかった期間です。
勉強しなければいけない時期に、ゲームばかりというのは情けない姿でした。
この一件の決着後、私は猛烈に反省しました。
失敗は一度だけにして、もう同じ失敗はしないよう誓いました。
これを最後に、私はRPGを卒業しました。
もちろんゲームを否定しているわけではありません。
ゲームは面白いという反面、危険もあるよという話です。
ゲームの「面白さ」と「怖さ」の両方を味わった一件でした。
抜け出せなくなったら、いっそのこと集中してクリアしてしまえばいい。
その代わり、同じ失敗を二度と繰り返さないことです。