日本の弥生時代には、一度の食事は60分弱であり、噛む回数はおよそ4,000回だったといわれています。
肉を切る道具の切れ味が悪かったため、飲み込む前によく噛み砕く必要がありました。
食料の保存もできないため、しばらく経った肉は硬くなり、食べるときにはよく噛む必要がありました。
しかし、文明は発達します。
柔らかい食事、消化のいい食事が登場しました。
時代とともに噛む回数は減り、鎌倉時代には30分で約2700回、第2次世界大戦前には約20分で1,400回だったそうです。
現在はさらに減って、10分ほどでたったの600回。
人によっては、それ以下の人もいるようです。
柔らかい食事や消化のよい食事が増えたため、噛む回数が減る一方です。
顎の骨格についても、昔の人はしっかりした大きな顎でしたが、現代人は細長くなっています。
いま一度噛む回数を増やすことで、健康を見直す必要があります。
スローライフでは、ゆっくり食事をして、噛む回数を増やすことです。
まずは「健康のため」です。
満腹感が得られて、食べすぎを防止する効果があります。
噛むことで脳への刺激も増えるため、ぼけの防止につながることが医学的にも証明されています。
もちろんより食事をおいしく味わうことも忘れてはなりません。
噛む回数が多くなると、だ液腺を刺激するため、だ液がたくさん分泌されます。
噛めば噛むほど甘い味がしてくるのは、だ液によって消化された糖によるものです。
だ液の中には「アミラーゼ」という消化酵素が含まれており、でんぷんを糖に分解する働きがあります。
食事をするとき、今より10回多く噛んで食べる習慣を持ってください。
おいしい食事が、さらにおいしく感じられることでしょう。