「速く働く心は病んでいる。ゆっくり働く心は健全である。不動の心は神聖である」
哲学者、メヘル・バーバーが言った言葉の真意は「問題は心にある」ということです。
心に問題があれば、現実面においてもトラブルが発生します。
心が健全なら、現実面は安定します。
問題は、常に心にあると考えることです。
満月の夜、波のない湖には、鏡のように月がきれいに反射します。
まったく波立っていない水面だからこそできます。
少しでも波が立てば、反射はうまくいかなくなります。
日常では、人と考え方がぶつかり、いらいらすることがあります。
いらいらしているときには、相手をしっかり見ることができません。
見ているようでも、実は見えていません。
波立つ湖の水面が月の姿をうまく反射できていないように、相手をうまく見ることができていない状態です。
腹が立っている状態では、相手の事情を考える余裕はありません。
相手を責める一方で、言い争いはさらに激化するでしょう。
いらいらする心に問題があります。
しかし、目をつぶって深呼吸をしてみましょう。
いらいらしている自分を落ち着かせることができれば、状況は一転します。
相手の事情を考えたり、解決策を考えたりする余裕が生まれます。
心の波が穏やかになります。
落ち着いているからこそ、冷静に人や状況を把握する余裕が生まれ、解決の糸口を見いだせます。
波が穏やかになるほど、湖は月の光をうまく反射させることができるようになります。
しかし、まだこれでは完全とは言えません。
さらに、もう一歩踏み込んだ理想があります。
それが「不動の心」です。
不動の心とは、気持ちが完全に安定しているということです。
まったく動かない心に「いらいら」という文字はありません。
いらいらすることがなければ、そもそも喧嘩も発生しません。
まったく波のない湖になることです。
一切の波がない完璧な水面は、きれいに月の姿を映し出せます。
とげのある相手の発言に反応することがなければ、そもそもいらいらすることはありません。
しっかり自分と相手の状況を見ることができます。
どんなことにも動じない心を持ったとき、本当の落ち着き、真のリラックスを体験できます。
これこそ、私たちが目指すべき「不動の心」です。
スローライフは、単に生活をゆっくりさせようという「物理的な話」ではありません。
心を落ち着かせ、不動の心を目指す「精神的な話」です。