私は読書をした際に目にする文章を「一期一会」という気持ちで読んでいます。
今読んで、もう読み返すことはない気持ちで読んでいます。
たくさんの本を読めば読むほど、そういう意識が強くなりました。
もちろん大切な一言は、メモを取ったり、ページを破いたりして、後から繰り返し読めるでしょう。
実際に、そうしています。
しかし、それは、0.01パーセントの文章であって、残りの99.9パーセントは最初で最後の出会いです。
ほとんどの文章を、二度と読み返すことはありません。
「後で読み返すかもしれない」と思い、本棚にしまうことがあります。
しかし、不思議なことに、後で読み返すことはありません。
いつでも読めるという安心感、読み終わったという記憶、過去の本という古さ。
そうしたことが関係してか、再び手にすることはありません。
すでに読んだ本を読む時間があるなら、新しい本を読みたくなります。
そうした理由があり、ある日から「読書は一期一会」と思うようになりました。
人間の出会いと、さほど変わらないのです。
新しい人と出会って、その瞬間の思い出は、すべて最初で最後です。
同じ時間は、二度と来ることはありません。
そう考えると、すべての出会いが貴重に思えてきます。
読書をするときに目にする文章すべてが、最初で最後です。
本棚にしまっても、どうせ読み返すことはないのですから、読書を一生懸命にするようになります。
人との出会いの貴重さを感じている人は多いのですが、文章との出会いの貴重さを感じている人は少ないのではないでしょうか。
文章も人と同じく、一期一会なのです。