「この商品は元本保証です」
「失敗しても元本だけは保証します」
「元本保証なので初心者でも安心してください」
「元本保証」という言葉を見聞きすることがあるでしょう。
元本保証とは、投資の運用にあたり、金融商品の購入・投資に充てた元金が減らないことを保証する意味があります。
つまり「元本割れのリスクがない」ということです。
「元手が減らないなら安心だね」
「元本保証なら最高じゃないか」
「元本保証なら初心者でも大丈夫だろう」
損をすることがないなら安心できるように思えるでしょう。
初心者向けで誰でも気軽に始められそうな気がします。
特にリスクを恐れる人は、強い魅力を感じるのではないでしょうか。
元本割れのリスクがなければ、安心できるように思いますが、油断は禁物です。
元本保証をうのみにしないでください。
普通に考えれば、元本保証はあり得ないことです。
投資には本来、リスクがつきものです。
リスクがあるからこそ投資であり、時には元本を失うリスクもあります。
元本保証は、すべての運用期間にわたって元本の額が減らないことを意味しますが、本当にそうでしょうか。
世の中に絶対がないように、元本保証もありません。
思わぬトラブルで、経済状況が行き詰まることもあるでしょう。
そもそも元本を保証する会社が倒産すれば、元も子もなくなります。
テロの可能性もあれば、未曽有の災害もあり得ます。
保険に入っていても、保険先がダメになる可能性もゼロではありません。
たとえ国や政府が元本を保証する金融商品であっても、途中で打ち切られたり方針が変わったりする可能性があります。
国がデフォルトを起こして破綻する可能性もゼロではありません。
きちんと投資の仕組みを理解している人なら、元本保証には限界があることを知っています。
本当に突き詰めて考えると、完全な元本保証はあり得ないのです。
特に注意したいのは「完全性の強調が目立つもの」です。
「完全元本保証」「100パーセント元本保証」など、完全性の強調が目立つ商品は怪しいと考えてください。
わざわざ完全性を強調するのは不自然です。
強い言葉を使うのは、騙そうとする意味が隠れている可能性があります。
相手が銀行員であろうと信用できる人であろうと、断ることをお勧めします。
「元本保証」という言葉をうのみにしないでください。
元本保証をうのみにするのは安易です。
「元本保証」と聞くと「安全な金融商品だ」と安心感を覚えますが、これほど危険なことはありません。
「国・政府・企業に問題がないかぎり、元本が保証されます」というくらいで考えるほうがいいでしょう。
世の中に完全な元本保証はないのです。