それはある日、突然のことです。
「おや。こんなところににきびができた」
にきびは顔にできるものと思いますが、意外な場所にできることがあります。
背中です。
なぜ背中ににきびができるかと、首をかしげます。
「たまたまなのかな。まあ、背中をきれいに洗えば、そのうち治るだろう」
軽く考えてしまいがちですが、これが忌まわしい悪夢の始まりです。
背中をきれいにしているにもかかわらず、なかなか治らない。
場合によっては、治るどころか、どんどん悪化することもあります。
最終的に背中いっぱいににきびができて、見るも無残な状態になってしまうのです。
顔のにきび同様、背中のにきびに悩まされている人も多いのではないでしょうか。
実のところ、背中のにきびは、顔より治りにくい傾向があります。
「顔のにきび」と「背中のにきび」
にきびはにきびでも、顔と背中とでは、事情が大きく異なります。
なぜでしょうか。
顔より背中のほうが、にきびが悪化しやすい条件が重なりやすい部分だからです。
背中は、顔とは違い、手が届きにくい部分です。
浴室で背中を洗おうとしても、手が届きにくいので、汚れも残りやすいのです。
顔にも背中にも、汗が出る汗腺はありますが、背中のほうが汗をかきやすい傾向があります。
服を着ているため、背中は顔より蒸しやすく、汗が出やすいのです。
背中にも、顔と同様、皮脂腺があります。
背中は、頭皮と顔の次に、皮脂の分泌が多い部分です。
背中は服を着ているため蒸ししやすく、汗とともに、皮脂によって汚れやすいのです。
こすると悪化するのが、にきびの法則です。
むやみな刺激を与えると、毛穴をふさいだり、炎症を悪化させたりします。
にもかかわらず、背中は洋服を着ているので、布とこすれる状況になります。
しかも、椅子に座って背にもたれると、背中に強い圧迫が加わります。
「こする」という物理的な刺激が発生しやすいので、にきびができやすくなるのです。
おわかりいただけたでしょうか。
背中は顔より「洗いにくい」「汗をかきやすい」「皮脂が分泌しやすい」「こすれやすい」という4つの悪条件が重なります。
これが、なかなか治りにくい原因です。
背中のにきびを軽く考えていると、治療に時間がかかります。
顔のにきびのほうが目立ちやすいものの、背中のほうが、より入念でしつこいケアが必要になるのです。