食べ盛りの人が西洋レストランへ行くと、おそらくこう思うでしょう。
「これだけ?」という失意です。
一皿の量があまりに少なくて、驚きます。
大きな皿に、料理が少しあるだけです。
「おなかをすかせてレストランへ来たのに、これだけでは満腹になれない」と愚痴を言いたくなります。
特に食べ盛りの若者には、物足りない量と感じることでしょう。
実は私も学生時代、西洋レストランへ食事に行ったとき、同じことを感じました。
西洋料理は「量より質」を重視する傾向があります。
そのため、質の高い肉料理が、大きな皿にぽつんと置かれているケースが多いのです。
しかし、不思議なことが起こります。
フルコースの料理は、一皿あたりの量は少ないのですが、コースの最後あたりになると、必ず満腹感を得られるのです。
食べる量は、普段より少ないのは確実なのです。
そのとき気づきました。
食事は「量ではない。噛む回数と時間なのだ」と。
フルコースでは、一皿ずつ出てきます。
一皿の量が少なく、一口で食べるともったいないので、ちびちびとした食べ方になります。
結果として、噛む回数が増えるのです。
また、フルコースでは一度にすべての食事を食べることができません。
前菜からデザートまで、給仕が一皿ずつサーブします。
そういう時間をかけた食べ方がいいのです。
ゆっくり味わうことができ、食事全体の時間が長くなります。
この「噛む回数」と「かけた時間」のおかげで、食べる量は少なくても、十分な満腹感を得られることができるのです。
おなかいっぱいになる基準を変えましょう。
量ではありません。
噛む回数と時間なのです。