私は20代後半ごろから、読書といえば「目」ではなく「耳」ですることが多くなりました。
別に、目で本を読むのが嫌いではありません。
本当は椅子に座って本をゆっくり読みたいところですが、忙しい仕事をこなしながら、読書時間を見つけるのは、なかなか難しい。
少しでも空き時間といえば、窮屈な電車の中や会社からの帰り道です。
しかし、満員電車は窮屈です。
夜道は暗いため読書が難しい現実があります。
その点、本文を音声で読み上げるオーディオブックなら、問題はありません。
耳にイヤホンをかけて聞きながらなら、窮屈な満員電車や暗い夜道でもスムーズに聞けます。
耳で本を読み始める習慣ができて、気づいたことがあります。
オーディオブックは、目で本を読むのに比べ、さまざまなことを考えながら聞くことができるということです。
目と耳とでは、脳の中で情報の経由に違いがあるためと考えられます。
目で読む場合、理解というゴール地点まで行くのに、さまざまなところを中継します。
まず目で見た画像は、視覚野に送られます。
視覚野で「画像→文字」として認識します。
次に、ウェルニッケ野で「文字→音」に変換されます。
ブローカ野で「音→意味」として変換され、初めて文章の意味を認識されます。
「目→視覚野→ウェルニッケ野→ブローカ野→理解」という流れです。
では、耳で理解する場合はどうでしょうか。
耳から入った情報は、いきなりブローカ野に送られ「音→意味」と変換ができます。
「耳→ブローカ野→理解」という流れになります。
目で理解するのに比べて、ずいぶんシンプルになったのがおわかりでしょう。
そのため、音を聞くほうが脳内で余力が生まれやすく、聞きながら考えが膨らみやすいのです。