「デキャンタージュしますか」
レストランでワインをオーダーすると、ソムリエから尋ねられ、驚くことがあります。
「デキャンタージュとは何だろう」と思うのです。
あまり聞き慣れない言葉で、返答に困りますね。
知っている人は知っていますが、知らない人は知らないこの言葉。
デキャンタージュとは「ワインをいったん他の容器に移すこと」です。
「デキャンタ」と呼ばれる、花瓶のような透明の器に、一度ワインを移します。
通常、ワインを注ぐときは、ボトルから直接グラスに注ぎます。
なぜ、ワインをいったん他の容器に移すのでしょうか。
その意味は、2つあります。
主に古いワインの場合に、デキャンタージュされる目的です。
年代の古いワインは、熟成の過程で沈殿物が発生することがあります。
沈殿物は有害ではないのですが、美しくありませんし、口に触れることに抵抗感を持つ人がいます。
一度、別の容器に移し替えることで、沈殿物を取り除けます。
主に若いワインの場合に、デキャンタージュされる目的です。
年代の若いワインは、風味が小さいことがあります。
これを「ワインが閉じている」と言います。
そこで、デキャンタージュで他の容器に移し変えることで、わざと空気に触れる機会を増やします。
酸化が促進され、ワインに備わったポテンシャルを引き出す効果があります。
基本的に「デキャンタージュしますか」と尋ねられれば、特別な理由がないかぎりお願いしたほうがいいでしょう。
ソムリエに面倒な手間が増えて申し訳ないと思う必要もありません。