あらためて考えると、不思議なことがあります。
なぜ犬は泳ぐのがうまいのでしょうか。
人間の場合、最初から上手に泳げる人はいません。
泳ぐどころか、まずは立って歩く練習から始まります。
2本足で立って歩けるようになるまでに、およそ1年かかります。
その後何年もかけて水に慣れ親しんだ後、ようやく泳ぐ練習が始まります。
クロールであれ平泳ぎであろうと、まず泳ぎ方があり、何度も練習を重ねてようやく習得できます。
「泳ぐのは難しい」
最初は誰もがそう思うはず。
慣れていない人なら、たった10メートル泳ぐだけでも大変です。
しかし、犬は生後1カ月も経てば、自然に泳げるようになります。
犬には「犬かき」という得意な泳ぎ方があります。
なぜか、誰に教わることもなく、初めからマスターしています。
しかもかなり長い距離を泳げます。
すごいと思いませんか。
なぜでしょうか。
はるか昔から、犬は水と触れ合う歴史が長いためです。
人間は、犬にさまざまな作業のお手伝いをしてもらっていましたが、地の上だけではありませんでした。
水の上での仕事もありました。
たとえば、ゴールデン・レトリバーやウォーター・スパニエルは、水に関わる仕事をしていた過去があります。
池や湖の上を飛んでいる水鳥を、漁師が弓矢などで打ち落とし、犬が泳いで取りに行く仕事をしていました。
また漁師の網を一緒に引いて、手伝っていた犬もいます。
人との付き合いが始まり、泳いでする仕事の歴史が長くなった。
その結果、泳ぎ方があらかじめ本能として組み込まれました。
すごいですね。
人間も、泳ぎ方を本能に埋め込ませたいところです。
しかし、いくら犬は泳ぎが得意とはいえ、無理やり泳がせるのだけは控えるようにしましょう。
犬の性格によっては、水が苦手な犬もいるでしょうし、泳ぐのが苦手という犬もいます。
うっかり溺れることもありますし、仕方ない事情を除いて、泳がせようとするのは控えたほうがいいでしょう。