ある日、犬が急に足を引きずって歩き始めた。
「どうしたんだろう。足をけがしたのかな」
そう思って足を見ても、けがどころか、傷すらない。
しかし、素人判断はできません。
「もしかしたら、足の骨や関節に何か問題があるのではないか」
表面的には見えないだけで、足の内部で何か事情を抱えていることも考えられます。
大切にしている犬が足を引きずっていれば、やはり何か問題があるのだろうと思い、動物病院へ連れて行くことでしょう。
その診断の結果は「特に異常なし」。
先生に問題がないと言われて、病院からまた出ると、やはり足を引きずり始める。
もしこうした状況を経験すれば、仮病を演じている可能性があります。
驚くべきことに犬も仮病をします。
そのくらい賢いです。
犬が仮病をし始めるきっかけは、たいてい決まっています。
仮病を始める少し前に、本当に犬がけがをした経験はありませんか。
そのとき、飼い主がすごく親身に面倒を見てくれたので、その快感を知ってしまいました。
普段、飼い主は忙しくてあまり相手にしてくれないが、病気のときだけは飼い主からの注目を集められることを知りました。
「体調が悪そうにすれば、飼い主が振り向いてくれる。相手にしてくれる」
そう思って、犬は寂しいときや飼い主からの注目を求めたいときに、体に異常がないにもかかわらず、わざと悪いふりをします。
犬の賢さに驚きますね。
こんなときの対策として、数多くの飼育書には「無視をするのが一番」と書かれています。
もちろん本当に病気ではないですから、無視をするのが最もの対策であるように思えます。
しかし、これは本当の問題解決にはなりません。
たしかに無視をし続けていれば、そのうち仮病を諦めますが、本当の対処になっていません。
「なぜ犬が仮病をし始めるのか」
この原因を解決しないかぎりは、仮病の解消にはなりません。
では、なぜ仮病を始めたのか。
やはり、多くの場合、飼い主があまり犬の面倒を見てあげられていないことが原因ではないでしょうか。
飼い主が触れ合う時間を省いたり、スキンシップを怠ったりしているから、犬は寂しがって特別な行為をしようとします。
犬に寂しい思いをさせていることが多いと、犬も非常識な手段をとろうとします。
仮病をする犬が悪いように思えますが、そうさせるような環境を作っている飼い主が本当の原因です。
いま一度、飼い主らしく、きちんと犬に接してあげましょう。
暇ができてから遊び相手になってやるのではなく、定期的に遊び相手になってあげましょう。
親身に接したり、スキンシップをしたりしていれば、自然と仮病もしなくなるようになります。