犬の社会といえば、リーダーを頂点とする「ピラミッド型」が有名です。
すでにご存じの方も多いことでしょう。
わかりやすいイメージとしては、ピラミッドの頂点に社長がいて、下にいくにつれ、部長、課長、係長、社員という感じです。
リーダーが多くの犬を引っ張っていきます。
では、なぜピラミッド型の社会を形成するようになったのでしょうか。
その理由は、はるか昔の野生だったころ、そうせざるを得ない事情があったようです。
犬の祖先をたどれば、5500万年前のミアキスに行き着きます。
森の中でミアキス同士の生存競争が始まりました。
そのうち一部のミアキスは3500万年前、森を出て、草原で暮らし始めます。
これが、のちの犬になるといわれています。
草原にいる生き物は比較的、体が大きくて強い生き物が多いのが特徴です。
その体の大きな生き物を捕らえるために、1匹だけで立ち向かうのは危険が伴いました。
捕らえようとするとき、自分が傷つくかもしれません。
場合によっては、逆に自分が食べられるかもしれません。
その結果「集団」で行動するようになったといわれます。
1匹では弱くても、10匹が集まり協力すれば、絶大な攻撃力も防御力も高くなります。
数で勝負しようと考えました。
また、大勢が集まるためお互いが慰め合え、寂しさも紛れます。
生きるためには、やむなく集団で行動をしなければならなかった。
しかし、集団で行動するのは、たやすいことではありません。
それぞれが好き勝手に行動しては、すぐばらばらになります。
的確な判断ができ、大勢を引っ張ってくれる存在が必要です。
そこで犬は、最も力が強いものをリーダーとして選出し、リーダーを頂点としたピラミッド型の社会を形成するようになりました。
絶対的なリーダーの言うことをほかが無条件に従うことで、多くの群れを1つの生命体であるかのように動かすことができました。
「集団行動」は生きるための最適な秩序を、彼らなりに考えたうえで出来上がった結果です。
さて、飼い主は犬にしつけができるのは、このシステムがあるからこそです。
飼い主が犬からリーダーとして認めてもらえれば、飼い主は指導をしやすくなります。
「犬が聞き分けのいいかどうか」ではなく「頼りがいのある飼い主であるかどうか」が大切です。
頼りがいになる飼い主を、犬は求めています。
強いリーダーほど、自分を守ってくれると感じるからです。
飼い主は、犬から頼られるほど強いリーダーになりましょう。
それは犬にとっても最大の安心でもあるのです。