留守番に慣れていない犬を、いきなり長時間留守番させると、たいてい大変なことになります。
無駄吠えをしたり、部屋中におしっこを撒き散らしたり、花瓶を倒したり、ソファーや柱をかじったりなどめちゃくちゃにします。
泥棒に入られたのではないかと見間違えるほど、ひどく荒らされることでしょう。
なぜ、ひどく荒らしてしまうのか。
これは、犬が飼い主に置いてきぼりにされたという強い不安感を抱くためです。
「1人にしないで」「寂しいよ」「部屋から出して」という強迫観念にとらわれ、暴れ回ってしまいます。
留守番に慣れさせるには、段階が必要です。
最初は、3分を目安に、飼い主が部屋から離れてみます。
問題ないようでしたら、10分、15分、30分、1時間というように、ステップアップしていきましょう。
しばらく経てば、飼い主はきちんと戻ってくることをわからせるためです。
段階を経てしつけていけば、次第に犬も「飼い主不在」の状況にも慣れ、留守番が上手になります。
しかし、です。
普段は留守番に慣れているはずの犬が、ある日の留守番中のこと、なぜか部屋のものをめちゃめちゃにしていることがあります。
留守番に慣れていない犬がいきなり長時間も留守番をさせられたなら、そうした行動はわかります。
しかし、留守番に慣れているはずの犬が、幼犬に戻ったかのように部屋を荒らせば「どうしたのだろうか」と思います。
この場合、別の原因が考えられます。
留守番中に、うっかり花瓶を落としてしまった。
犬は「飼い主が帰ってくれば、ひどく叱られるに違いない。どうしよう」と不安感に駆られ、焦って走り回ってしまった。
その結果、余計に部屋をめちゃめちゃにしてしまうという悪循環を起こした、という可能性が考えられます。
後で叱られるに違いないとわかると不安になるのは、人間も犬も同じです。
普段から厳しい飼い主の場合、犬は悪いことをした後「飼い主に叱られる」という強迫観念を抱きやすいです。
そういうときは、飼い主は犬にお仕置きとして厳しく当たりすぎていないかチェックしてみましょう。
厳しすぎるお仕置きがあるのは、いくらしつけとはいえ、強い恐怖を与えすぎます。
人間でも、厳しすぎる親に育てられた子どもはやつれきってしまい、非行に走りやすくなりますが、犬の場合も同じです。
飼い主が厳しすぎると、犬はやつれきってしまい、非行へと走りやすくなるのです。