初対面の犬同士が出会うやいなや、いきなりお互いのお尻を嗅ぎ合う光景があります。
肛門周りといえば、糞がついて衛生的ではありません。
「なぜいきなりそんな汚いところを? まさか、糞のにおいが好きなの?」
いえいえ、そうではありません。
実は、肛門の近くには「肛門腺」と呼ばれる部分があります。
肛門とは別の穴です。
犬が出会いがしらに、いきなりお尻を嗅ぎたがるのは、この肛門腺から出る独特のにおいでした。
肛門腺からのにおいは、おしっことも糞とも違う、独特のにおいがあります。
人間には「くさい」というくらいしかわかりませんが、人の100万倍もの臭覚を持つ犬には多くの情報源になります。
性別・性格・強さ・発情状態、また驚くことにそのときの気分までがわかるとされます。
いわゆる、自分のことを説明する名刺のようなものです。
いえ、人間以上に多くの情報が詰まっている名刺と言ってもいいでしょう。
お尻のにおいを嗅ぎ合うのは、名刺交換をして、しばらく会話をしているような状態です。
人間から見れば恥ずかしい行為ですが、もし状況が許せるなら、そのままにしておいてあげたほうがいいでしょう。
むしろ、におわせてあげることをおすすめします。
人間でもそうですが、相手のことがよくわかると安心ができますし、仲良くなりやすくなります。
犬の場合も、相手のことがよくわかるほうが、上下関係や距離感などをつかみやすくなり、仲良くなりやすくなるのです。