犬は、穴を掘って、餌の一部を埋める習性があります。
屋外で飼ったことがある人なら目にしたことがあると思います。
私が実家で飼っていた犬も、餌を与えて最初は食べますが、しばらくすると穴を掘って埋めようとする光景を何度も見ました。
犬小屋の周りは、いつも穴だらけでした。
これは犬が野生時代だったころの名残です。
野生時代だったころ、獲物にありつけるタイミングは不定期でした。
捕らえた獲物のうち食べきれない分は、後でも食べられるよう誰にも見つからないところに穴を掘り、埋めて隠していました。
また埋めようとするものは、食料だけとは限りません。
おもちゃや飼い主の靴など、犬が遊ぶものとして使うものもよく埋めて隠すようです。
水口家でも、片方の靴がないと思えば、犬が穴を掘って隠していたこともありました。
隠すことで「誰にも取られないぞ」という安心感を得たいようです。
人間が大切なものを金庫に入れて保管するような安心感に近いのでしょう。
貴重なものほど「失いたくない。いつまでも残しておきたい」という気持ちは、犬も変わらないようです。
しかし、穴掘りが常に保管目的とも限りません。
単に、穴を掘って終わりになる場合もよくあります。
これはほとんどの場合、退屈しのぎでやっているようです。
リードで小屋につながれているときは、暇な時間も多くなります。
「退屈しのぎに穴でも掘るか」と思っています。
こうした習性は、犬によって違いがありますが、特にテリア系の犬は、頻繁に穴を掘ることでしょう。
スコティッシュテリア、ヨークシャーテリア、ジャック・ラッセル・テリアなどのテリア系の犬です。
テリア系の犬は、もともと土の中にいる小動物の狩猟用として育成されてきたため、穴を掘る習性が特に強いです。
犬のための理想としていえば、犬の好きなように穴を掘らせてあげるのが一番です。
穴を掘ることで運動にもなりますし、ストレス発散にもなります。
肉体的にも精神的にもいいですが、やはり家庭によってはどうしても穴を掘られては困るというところもあるでしょう。
もしどうしても穴を掘られたくなければ、コンクリートの上に犬小屋を移せば、穴を掘ることはなくなります。
またコンクリートの敷地がない家庭では、コンクリートに代わるような木の板や鉄の板などを敷くのもいいでしょう。