猫と一緒に住んでいても、家を空けなければいけないときがあります。
仕事でやむなく遠くへ出張しなければならなくなり、家を1日空けることもあるでしょう。
猫を家の中で1人きりにさせるのはかわいそうだと思い、出張先の旅館やホテルに一緒に連れて行こうとすることがあります。
この場合、一緒に連れて行くのはおすすめできません。
猫を許可している旅館やホテルでも、やめたほうがいいでしょう。
旅館やホテルが悪いのではありません。
そもそも猫は、環境の変化を嫌うからです。
日本のことわざに「犬は人につき、猫は家につく」という言葉があります。
犬は人になつき、飼い主の命令に誠実で、飼い主の行くところならどこへでもついていきます。
そもそも犬はグループで行動する生き物だったので、仲間とはぐれることに不安を感じます。
リーダーのいるところなら、守ってくれる存在がいるから安心できると思っています。
しかし、猫は違います。
飼い主ではなく、環境になつきます。
猫は野生のころから、団体行動ではなく、1人で行動する生き物でした。
猫の場合は、狩る獲物がネズミや小鳥などの小動物であったため、1人で行動するほうが狩りがしやすかった事情があります。
そのため、1人になっても寂しいとはあまり感じません。
「慣れた環境」さえあれば、少々飼い主が不在でも、寂しがらずにやっていけます。
猫にとって本当につらいのは「飼い主が不在になる状況」より「環境が変わってしまう状況」です。
これはショックを受けます。
環境が変わることで、隠れる場所、寝る場所など把握し直さなければならず、あたふたしてしまいます。
旅行・出張・引っ越しなどで環境に大きな変化があると、猫は不安でたまらなくなります。
鳴き声を荒らげたり、落ち着かないそぶりをしたり、粗相をしたりなど、余計に世話が焼けます。
もし、出張で家を1日空けるくらいなら、猫を家で留守番をさせたほうが賢明です。
1日くらいなら、少し餌を多めに置いていれば、何の問題もなく過ごすはずです。
3日くらい空ける場合なら、餌を3日分置いておけばいいでしょう。
もしそれ以上長く、家を空ける場合は、誰かに猫を預かってもらうより、誰かに家に来てもらうほうがいい。
両親や友人にお願いをして、自宅に来てもらい、餌やトイレ周りを手入れしてもらうほうがいいでしょう。
そのくらい環境を変えないようにするほうが、猫のためです。
猫にとって環境が変わらないことは、重要なことなのです。