「新発売」という文字があれば、私たち人間はつい視線を向けてしまいます。
「何だろう」「気になるな」「一度くらいなら試し買いしてみようかな」と思います。
まだ味はわかりませんが、気になり、つい手が伸びてしまいます。
新しいものを手にすると、自分の殻を破ることができ、何か新しく生まれ変われるのではないかという期待が膨らんできますね。
しかし、猫の場合になるとそうはいきません。
猫は、偏食家です。
新しいものを好まず、慣れ親しんだものをずっと食べ続ける傾向があります。
猫の健康を思って、ときどき食事のメニューを変えてあげると、口にしてくれないことはありませんか。
いつもと違った味の場合は「慣れないにおいだ」「本当に食べられるのか」と警戒してしまいます。
これが、人と猫とで大きく異なる点です。
人は新しいものが好きですが、猫は新しいものは苦手です。
では、猫の食習慣というのは、いつごろ形成されるのでしょうか。
これは猫がまだ幼いころの食習慣が強く影響するようです。
親猫のおっぱいを卒業して、食べ始めるようになった食事を「自分が食べるご飯」と認識するようです。
マグロの肉を与えればマグロの肉をえり好みするようになり、鶏肉を与えれば鶏肉をえり好みするようになります。
いろいろな餌を食べてもらいたければ、この離乳した直後に、さまざまな餌を与え慣れさせてあげるといいでしょう。
もちろん成猫になってからも、食習慣を変えていくことは可能ですが、なかなかスムーズにいくことは少ないようです。
もし食習慣を変えるなら、一気に変えてしまうのではなく、時間をかけながら少しずつ変えていくようにすればいいでしょう。
また、すでに固定されている食習慣が、猫の栄養バランスに大きな問題がなければ、わざわざ直すのはやめたほうがいいでしょう。
無理に変更しようとすると、かえって猫のストレスになりかねません。
偏食がいけないのは、私たち人間が持っている先入観ですが、そもそも猫は偏食をする生き物と思っていたほうがいいでしょう。
猫が喜ぶに違いないと思って飼ってきた新発売のキャットフードを食べてくれないことも、まったく珍しいことではないのです。