執筆者:水口貴博

数字のトリックを見破る30の方法

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数字で考えると、ウエイターが1人しかいない理由が見えてくる。

数字で考えると、ウエイターが1人しかいない理由が見えてくる。 | 数字のトリックを見破る30の方法

私がよく行くレストランの1つに、24時間営業のところがあります。

お昼はウエイターが3人になりますが、夜は人が少ないため、1人でやっています。

しかし、夜とはいえ、立地条件がよいため、深夜でさえ3分の2の席が埋まることは珍しくありません。

1人のウエイターが、なんと50人近くのお客さんの配膳をしているという過酷な現場です。

客である私でさえ「大変そうだな」と感じます。

ウエイターは、深夜にもかかわらず、たくさんのお客をさばくために店内をいつも走り回っています。

「夜でもこれだけお客さんがいるなら、もう1人雇えばいいのに」

単純に、そう思います。

1人では足りないのは、一目瞭然です。

ふと、こんな心配をします。

「こんなにたくさんお客さんがいると、1組くらい食い逃げしてもわからないだろうな」

ウエイターが1人しかいないので、十分に気を配る余裕がなく、実際にそれは起こりえる話です。

食い逃げが見えないところで、1つ2つあるかもしれません。

しかし、です。

深夜にウエイターが1人なのは、食い逃げされてもいいという前提で、そうしています。

数字で計算すれば、すぐわかります。

実際にウエイターをもう1人雇えば、人件費が大幅に増えます。

深夜の時給ですから、例として1,200円とします。

夜10時から朝の8時までの10時間とすれば、最低でも12,000円の人件費が必要です。

しかし、1組のお客さんが食い逃げしたとすれば、食事の量にもよりますが、3,000円の損失としましょう。

12,000円の損失と3,000円の損失。

実は、ウエイター1人で1つ2つ食い逃げされても、お金の損失は小さくて済みます。

たとえ一組が食い逃げしたとしても、ウエイター1人に支給しているかぎり、損が儲けを上回るということです。

また深夜のお客さんですから、だらだらしたお客さんが多いです。

お客さんが多くても、実際は食事をしている時間より、雑談をしている時間のほうが多いです。

だらだらしたお客さんが多いため、ウエイター1人でも、何とかできます。

さて、この話を前提に、次はお昼の話をします。

一方、お昼にはそのレストランは、ウエイターが3人も増えます。

先の例で考えれば、お昼もウエイターが少ないほうが儲けは大きくなるので、ウエイターが少なくてよいのでは?と思います。

実は、お昼時のお客さんは、夜とは違い回転がいい。

平日の昼時になると、昼休みのため、会社員が押し寄せます。

押し寄せた客は、午後からも仕事があるので、食事が終われば雑談は控え、さっとお店を出て、会社へ戻ります。

お客さんが外した席に、また次のお客さんが座り、食事をしては、さっとお店を出ていきます。

この繰り返しを「回転」といいます。

お昼のお客さんは回転がいいので、ウエイターが3人いて、素早く配膳したほうがさらに回転もよくなります。

ゆえに、売り上げが伸びます。

ウエイター3人雇っていたとしても、回転率を上げたほうが、損が儲けを上回るわけです。

このように数字を考えると、世の中の不思議が解明できてしまいます。

レストランとはいえ、経営です。

きちんと儲けを出さないといけないので、そのための工夫をしているのです。

数字のトリックを見破る方法(8)
  • なぜウエイターが1人しかいないのか、数字で考えてみる。
クレジットカードを使うことで、数字がわからなくなる。

数字のトリックを見破る30の方法

  1. 数字のトリックに騙されるな。
  2. 安くなったのではない。
    初めからその価格なのだ。
  3. 4桁と3桁の違いに、騙されない。
  4. 賢い消費者は、値段を四捨五入して考える。
  5. わざと期間を書かない期間限定サービス。
  6. ポイント制に、得はない。
  7. 平凡な消費者は「値段→必要性」の順で考える。
    賢い消費者は「必要性→値段」の順で考える。
  8. 数字で考えると、ウエイターが1人しかいない理由が見えてくる。
  9. クレジットカードを使うことで、数字がわからなくなる。
  10. 「無料」という甘い言葉を信じると、損をする。
  11. 「送料は当社が負担」は、送料を商品に上乗せしているだけ。
  12. 同じ効果でも、選択によって大幅な節約ができる。
  13. 数字で考えれば、真実が見えてくる。
  14. 安くなったパーセンテージではなく、金額を見る。
  15. 実績だけを見ていると、騙される。
    どのくらいの期間での実績かを考える。
  16. 英語の結果は、仕事の結果ではない。
  17. お金持ちほど、けちである。
  18. どんなに安くても、価値を感じないところにお金を使わない。
  19. 世の中に、本当の無料メディアはない。
  20. 給料の安さが、あなたに知恵を振り絞らせる機会を与える。
  21. ウインドーに張り出されている優良物件は、客引きである。
  22. 節約のために、自炊が一番とは限らない。
  23. 購入後の維持費の計算を、忘れていませんか。
  24. 金額が大きくなると、金銭感覚が鈍くなる。
  25. 試験結果の90点は、ほぼ100点と考えていい。
  26. 「喫煙者の24時間」は「禁煙者の24時間」以下である。
  27. 金銭感覚を養うためには、1万円札1枚より、1,000円札10枚のほうがいい。
  28. 量は同じでも、単位を変えてしまうだけで、印象が変わってしまう。
  29. 人間は、切りのいい数字が好き。
  30. 言葉の表現を変えるだけで、印象が変わってしまう。

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