父はもちろん大人ですから、世の中のことを知っています。
指導そのものは間違っていませんが、教え方が大切なのです。
尊敬できる父親とは「あれをやれ。これをやれ」とは指示しません。
「~しなさい!」「~をやれ!」という言葉は、強い命令言葉です。
子どもを、自分の型にはめさせようとする言葉です。
「~しなさい!」「~をやれ!」という言葉を使って子どもを教育する親は、子どもを自分の持ち物として考えています。
「そうでなければならない」「そうしないといけない」という強い考えから、子どもを自分の理想どおりになるようにしているのです。
これは伸びない育て方です。
いえ、場合によっては、伸びるどころか非行に走り始めるでしょう。
非行に走っている子どもの親には、意外なことに先生や校長先生のような教育者が多い。
教育者は、子どもにも同じように育ってもらうよう熱心さが過ぎて、型にはめさせる親が多いのです。
自分の理想どおりに育つよう、型にはめ込ませると、往々にして子は伸び悩みます。
花を育てるために、無理やり茎を引っ張ったり、曲げたり、折ったりしていることと同じです。
「こうしたほうがいい」と思ってしていることが、逆に成長を妨げているのです。
尊敬できる父親は「こうしろ」と命令するのではなく「こうしたほうがいいよ」とアドバイスをします。
命令は子どもを萎縮させ、アドバイスは子どもを伸ばせます。
適切な選択や方法を言い、その後どうするかは、子どもの判断に任せます。
正しい選択をすれば、子どもは喜ぶでしょう。
間違えた選択をすれば、子どもが苦しむでしょう。
快感も苦痛も、共に味わいながら、子どもは正しい人生の歩み方を体感していくのです。
子どもの判断に任せ、子どもが痛い経験をすることで、自然と伸びていきます。
伸びるように伸びたとき、子どもの才能が最も表面化するのです。